注記
			【ハウスルール】
			■クリチケシステムについて
			・クリティカル1回につき、クリチケ1枚
			・保持可能な上限は無制限
			・クリチケ1枚につきダイスの振り直し(エンド分岐に関わらないもの)が可能
			・1クリのクリチケは、あらゆるダイスの振り直し可能とします。
			・エンド分岐に関わるものは「※1クリのクリチケ以外で振り直し不可」と提示します。このダイスロールだけは普通のクリチケで振り直し不可です。
			
			■ファンブル
			・なにかがおこる
			
			■スペシャル/初期値成功
			・普通の成功と同じ
			・戦闘時のスペシャルは基本ダメージ2倍
			
			■ヒプノーシス ※機会があれば提案可
			・<精神分析>の半分で振る。
			・1d10+10分の時間が必要。
			・催眠術により得た情報は信憑性が無い。
			
			■RPについて
			・何か言いたいことがあるけど、考え中…そんなときは、メッセージ欄に何かしらを入力しておいてください。または、雑談タブで宣言してください。
			・「●●入力中...」と出ている間は、KPは待ちます。
			・雑談/メイン等で「こういうことが言いたい/RPがしたい」と宣言してもらえれば、NPCを使って舞台を整えれる…かもしれない (できない場合もあります)
			■舞台
			大正十二年(1923年)八月。関東大震災の直前の時期。
			治安維持法の施行前であり、大衆ものびのびと生活できていた時代。
			欧州ではクレペリンやフロイトの活躍があり精神医学が進んでいたが、当時の日本では寺社による加持祈祷などがあった。
			当時、脳病については分からないことも多く、投与できる薬の種類も限られていた。
			■用語集
			監置室…私宅監置(私人が身内の精神病患者を自宅に監禁して世話をする)のための部屋
			バルビタール…睡眠薬の一種。『あなた』はこれを十三に投与していた。
			ソマトーゼ…滋養強壮剤の一種
			沃剥(ようポツ)…ヨウ化カリウム。慢性の気管支炎や喘息などに用いられた薬。
		
			注記
			《時代背景》
			大正十二年という時代は精神医学において一つの過渡期であり、私宅監置と呼ばれる『私人が身内の精神病患者を自宅に監禁して世話をする』という行為が適法であった。これは現在のような精神医学に対する行政の理解も少なく、かつ様々な精神病に効果のある薬が世に出ておらず、精神病院というものの数も患者の数と比べて大変少なかったためでもある。
			精神病を意味する言葉としての癲狂という表現が、あまり用いられなくなってきた頃であり、精神病、または脳病という呼称が一般的で、病院の名前も〇〇癲狂院などは〇〇脳病院、或いは〇〇医院などに改めるものもあった。
			寺社が現在の精神病院の役割を担っている側面もあったが、そこで行われていた治療行為と言えば、加持祈祷の類や滝壺で水に打たせる程度のものであった。
			精神病患者に内職や農作業などを行わせる作業療法などは一定の評価をなされていたが、広場での運動や生産活動を行わせているケースはそれほど多くなく、万を下らない患者が牢獄にも劣るような監置室に死ぬまで閉じ込められるか、或いはただ放置され続けたというのが実情であったようだ。
			精神病患者の扱いに関しては内務省、現在の厚生労働省の管轄であり、強制的に入院させる措置を取るときは警察官がそれを担った。私宅監置を行う際にも様々な規定が存在し、監置室の状態や患者の詳細を警察に届け、個別に許可を得る必要があった。しかし実際のところは、多くの市民にとって監置室を設けて患者の面倒を看続ける経済的負担は並大抵ではなく、努力義務に留まっていたのではないか、というのが当時の資料から察せられる実態である。
			時代背景としては、関東大震災の直前の時期であり、治安維持法の先駆けとなる『治安維持ノ為ニスル罰則ニ関スル件』が公布されるより前の、比較的市民が自由に暮らす平穏な時代である。
			明治後期から大正末期に掛けて、女医の存在も無いではなかったが、男性医師に比べその数は圧倒的に少なかったことに留意されたい。
		
			妹尾 十三
			《妹尾 十三》 せのお じゅうぞう
			二十一歳男性。少年時代に同級生から乱暴を受けて、精神に変調を来たした。
			裕福な家庭であったため、私室を改造した部屋で四年ほど監置されながら、一年前まで探索者の治療に掛かっていた。
			偏執病であり、しばしば周囲の人間が自分に害をなそうとしていると言っては暴れだすことがあった。寛解時(病症が落ち着いているとき)は、ごく穏やかで物静かな青年である。
			現在は池田脳病院に入院しており、探索者の担当は外れている。
			流れとしては、十三の両親が死したあと、兄の文恒一人で十三の私宅監置には限界があると感じ、池田脳病院へ入院という運びになった。その際、探索者は十三の担当を外れた。
			〔注:現在『統合失調症』と呼称されている精神障害『スキゾフレニア(schizophrenia)』は、明治44年(1911年)に医学用語として提案されたが、日本では長く訳語が統一されていなかったため、ここでは全て『偏執病』と呼称している。なお精神分裂病という呼称は昭和から用いられた言葉であり、大正時代には存在していないことを留意されたい〕
		
			妹尾 文恒
			《妹尾 文恒》 せのお ふみひさ
			三十一歳男性。十三の兄で、骨接を生業にしている。
			病身の弟を哀れに思い献身的に面倒を見てきたが、病状の悪化に堪えかね、両親の遺した土地を売り払って十三を脳病院へ入れた。
			探索者が十三を担当していた頃は、主に存命中の両親とやり取りしていた為、文恒と直接話したことは殆どなかったが、お互いに顔は見知っている。
		
			真崎 敬之
			《真崎 敬之》 まさき のりゆき
			五十五歳男性。池田脳病院の医師。
			長身痩躯、表情は乏しく、声に感情を乗せずに喋る。探索者とは学会等で顔を合わせることもあり、互いに会えば挨拶を交わす程度の知り合いである。
			精神医学に関しては現状を良しとしておらず、どちらかと言えば革新的な立場を取っている。
		
			注記
			※本シナリオでは、KPから心理学を振るよう促すことはない。
			 <心理学>を振りたいタイミングでメインタブで宣言してください。
		
津江村 馨 タイキピーエル(競走馬)
品 お待たせしております。すみません、何故かいつものアカウントで入れず……。(ぐるぐる中
津江村 馨 お、おつかれさまです!
品 あ、入れた!
津江村 馨 おかえりおかえり品の人
			品
			本シナリオではキーパーから心理学を促すことはありません。お好きなタイミングでお申し付けください。
			また、クリティカルチケットは採用していますがエンドに影響のあるダイスロールは1クリのクリティカルチケットでのみ振り直し可としています。
		
津江村 馨 ふんふん、了解です。
語り手 それでは、はじめて参りましょう。
			語り手
			───────────────
			
			  異説・狂人日記
			  
			   ───────
			  
			  著: 津江村 馨
			  
			───────────────
			《導入》
			「我邦十何蔓ノ精神病者ハ實ニ此病ヲ受ケタルノ不幸ノ外ニ、此邦ニ生マレタルノ不幸ヲ重ヌルモノト云フベシ。」
			  呉秀三『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』より
			時は大正十二年(1923年)八月、夏の盛りである。
			探索者のかつての患者であった妹尾十三は、少年時代からひどく精神を持ち崩し、四年ほど私宅監置下に置かれていた。
			探索者は一年ほど前まで、この妹尾十三の治療に当たっていた。今では担当を外れて久しいが、とある日、その十三から一通の手紙が届く。
		
津江村 馨 大正12年だった 15年ではなく
注記 〔注:私宅監置とは精神病患者を座敷牢等の監置室に隔離・監禁することを合法的に認める制度のこと〕
			妹尾 十三
			『私にはもはや、人の生活というものに皆目見当がつかなくなってしまったのです。センセに助けてもらわなければ、私の正気はあと一日だって保たないでしょう。どうか後生ですから、私の住まいを訪ねてきてはくれませんか。
			柳川県底濱市西区淵ヶ谷三丁目四番十六号 妹尾十三』
		
語り手 そこには彼の実家の住所が書かれていたが、探索者はこの手紙の主が現在、底濱市北区にある池田脳病院に入院していることを知っている。
津江村 馨 あ、ちょっとお待ちをば 家族に呼ばれた
語り手 承知いたしました。
津江村 馨 戻りました
語り手 おかえりなさいませ。
			語り手
			奇しくもそのとき、あなたはとある事情で参っていた。
			大正八年に精神病院法が制定されて以来、危険な患者の隔離の是非を争った議論が活発にある中で、探索者も自身の立場を表明する論文を求められていたのだ。
			とにかく、翌日が休日であったこともあり、精神病患者の入院の実際を改めて見直すために、探索者はこの妹尾十三を訪ねて、池田脳病院へ赴くことになるだろう。
			 
			 
			……さて。脳病院へ赴くにあたりなにか準備等ございましたら、自宅からシーンを始めることも。なければ池田脳病院から始めることも可能です。
			いかがなさいますか?
		
			津江村 馨
			論文を求められている……長らくのほほんと生きていた私だけれど、そろそろなにか………びっとしなければならないときがきたのでしょうか……
			準備はさしあたってはありません。十三くんの顔を見に伺いましょう。
			カルテってこの時代に……ありますよね……?
		
語り手 あることにして良いでしょう。典型的なパラノイアの患者であったことを思い出せます。
			津江村 馨
			では、念のためにそれを持っていきましょう。
			相手方の病院さんにもなにかしらの参考になれば。
		
津江村 馨 choice[女装,しない] 行くとき (choice[女装,しない]) > 女装
津江村 馨 いつも通りの服装(立ち絵のこちら)をしてまいります。
津江村 馨 もうだめかもしれない
			語り手
			承知いたしました。あなたは女中の装いに身を包み、カルテを抱えて池田脳病院へと足を運ぶこととしました。
			《池田脳病院》
			底濱市北区の外れ、人家もまばらな郊外にある精神病院です。評判は悪くなく、自然をごく近くに感じられる環境もよいと感じられるでしょう。
		
津江村 馨 おおおおおん 素敵
語り手 院内を覗けば、受付に女性職員が座っていることに気付けます。
津江村 馨 (よい環境だ。たしか、評判も悪くはなかったはず)
品 へへ、手製のAPNGです
津江村 馨 受付の方に声をかけましょう。
受付 「当院に御用でしょうか。承ります」
語り手 受付は軽く頭を下げて応対します。
津江村 馨 「こちらに入院しておられる、妹尾十三さんに面会はできますか?ちょうどお手紙を頂きまして」
津江村 馨 えらいよぅ……えらいよぅ……
語り手 あなたがそう伝えれば、受付は立ち上がり腰を少し折り曲げて廊下の奥を示しました。
受付 「妹尾さんですね。ご案内いたします」
津江村 馨 ついていきましょう
			語り手
			彼女は受付を離れ廊下を先を歩くことでしょう。あとをついていけば、奥の広い病室へと案内されました。
			妹尾十三の病室は個室というわけではなく、何人かでの大部屋のようです。
		
津江村 馨 覚えている限り、彼は大部屋を是としていましたか?
			語り手
			いいえ、そのような印象は無かったでしょう。一年前の彼は私室を改造した部屋に一人だったので。
			十三の病室を訪ねると、彼が行儀よく椅子に座って津江村先生を待ち構えているのが見えます。
			十三は、現れた探索者を見るや、白い肌をりんご色に染めて前のめりになりました。その顔はとても今年二十二になるとは思えない、あどけない少年のようだと思うことでしょう。
		
妹尾 十三 「ああ、センセ! お越しくださってありがとうございます。いまお茶をお淹れしますね」
津江村 馨 「お久しぶりです、十三くん。ああ、少し顔色もいいね。手紙を見たときは心配したけれど、よかった」
妹尾 十三 「センセこそ、お変わりないようで。ええ、最近はセンセがいつ来るかしらいつ来るかしらと、待ち侘びていたんですよ」
語り手 そう言って十三は…ベッドのシーツを剥がして、ゴソゴソと何かを探し始めます。
			津江村 馨
			ベッドシーツをかあ
			様子を観察していてみましょう。
		
妹尾 十三 「いい葉っぱを頂いたんですよ。宇治に、友人がいましてね。さて、どこにしまい込んだのだったか――」
語り手 言いながら、彼はベッドのシーツをすっかり剥がし、マットレスの裏側を覗くのでした。
			津江村 馨
			「おや。それはそれは…センセも一緒に見てみてみましょう」
			様子がおかしい…話を合わせつつその奇行を止めましょう。
		
			妹尾 十三
			「……? ない…ない」
			「アニキが勝手にお客様に出してしまうので、戸棚の奥に隠しておいていたのですよ」
		
津江村 馨 「そうか。ではここにないのならば、センセは別のものを所望してもいいかな?」
妹尾 十三 「な、なんでしょうか……」
津江村 馨 ふええん 様子がおかしい
			津江村 馨
			「うん。最近の十三くんはどうしているかな、というのをセンセは聞きたいんだ。元気にしていたかどうかをね」
			「ここはいい病院と聞いたけれど、どうだい?」
		
津江村 馨 精神科医のロールがわからない(大の字)
妹尾 十三 「センセ……そんな、気を遣っていただいて申し訳ございません。何のもてなしも出来ない無礼を…病院、ですか? いえ、今は具合がだいぶ良いので、家で過ごしております」
津江村 馨 「ふふ、そうだったね。じゃあ、おうちでの様子はどうかな」
津江村 馨 おかしいよう…おかしいよう……ヒンヒン……
妹尾 十三 「最近下男が増えまして……これがなんとも不遜な男なのです。真崎というのですが」
語り手 十三は両ひざをぴったりと合わせ、その上で指先を揃えるのでした。<アイデア>をどうぞ。
			津江村 馨
			CCB<=80 【アイデア】 (1D100<=80) > 10 > スペシャル
			そうだな、ついでにいっちょ心理学をしましょう。
			彼がここを家だと思っているのかどうか、を。
		
			語り手
			素晴らしい。それではあなたは…彼の右手の小指の先が失せていることに気が付けるでしょう。血は出ていないようです。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 27 > 成功
		
津江村 馨 ウエエ……ほんまですやん……立ち絵……
語り手 そしてあなたは、どうやら彼がここを自宅だと思い込んでいるようであることに気づけるでしょう。彼がこのベッドを漁っていたのは、おそらく私室の戸棚かキャビネットでも探しているつもりだったのでしょう。
			津江村 馨
			おやおやおやおや おや………
			そうかあ……(伏)
		
妹尾 十三 「センセ?」
			津江村 馨
			「ふむふむ。それは大変だ……ところで、右手の小指はどうしたんだい?」
			「ずいぶんと痛そうなことになっているじゃないか」
		
語り手 十三は己の右手を見て、次に津江村先生に向き直り、居住まいを正しました。
			妹尾 十三
			「そうなのです、センセ。センセをこうしてお呼びしたわけは、ある話をセンセに伝えなくてはならないからなんです」
			「話というのは、まったくもって、退っ引きがならないのです」
		
津江村 馨 「話…?」
妹尾 十三 「センセは、昨晩お肉を召し上がりましたか」
津江村 馨 センセはおぬくを食べたのでしょうか
語り手 ご自由に決めていただいて構いませんよ。
			津江村 馨
			では賽を振らせていただきましょう。
			choice[食べた,食べていない] 昨夜の食卓 (choice[食べた,食べていない]) > 食べていない
			「昨夜は茄子をいただきましたよ。焼いて皮をむいて、醤油をつけて」
		
			妹尾 十三
			「──そうですか。まさかセンセは……」
			「──人肉を食べたりはなさらないでしょうね」
		
			津江村 馨
			おへえ……
			演出がすごすぎる
		
津江村 馨 「……まさか。センセは人間ですよ。同族の肉はまだ食べていません」
語り手 十三はブルブルと震えながら声を潜め、辺りを神経質そうに窺ってから、あなたの返答を待たず耳打ちします。
津江村 馨 (……まずい兆候が山と出ている。どうしたものか)
			妹尾 十三
			「人の肉です。ええ、緊急避難の止むに止まれぬ事情でなく、好きで人の肉を喰らう、食人鬼がいるのです。この世界には、そのような人間が数多くいるのです」
			「実のところ、私の兄の文恒は食人鬼なのです。そればかりか、この家の下男の真崎という男も忌まわしい人食いなのです。私は散々この家から出ていくよう下男に言いつけてはいるのですが、頑として聞かず、私はほとほと困り果てているのです」
			「私の兄は、人を食べたがっている人間です。兄の、目を見ていただければ分かるでしょう。食人鬼の目というものは緑色にぬらぬらと濡れ光っているものです。夜中になれば、隣の部屋から兄の舌なめずりが聞こえてきます」
		
津江村 馨 ひょええええ
妹尾 十三 「兄の持つ本には、『易子而食,析骸以爨〔子を易えて食ひ、骸を析きて爨ぐ〕』とありました。自分の子を食うのは忍びないので、人の子と取り替えて食らうという意味です。死人の骨を割き炊事場の焚付にするという意味です。つまり私は――それが恐ろしくてならないのです」
津江村 馨 「十三くん…」
妹尾 十三 「兄は骨接の医者でありまして、生来勉強熱心な人でありましたから、なれば支那から取り寄せた…本草なにがし…という本に載っていた食人について研究をしていたとしても全く不思議のないことです」
津江村 馨 「十三くん、落ち着いて」
妹尾 十三 「でもセンセ……っ! 本当なんです、信じてください! センセ、どうか気をつけて、この町は……」
語り手 『本草なにがし』について〈医学〉〈薬学〉〈博物学〉をどうぞ。
			津江村 馨
			「うん。大丈夫だよ。聞いているから、少し落ち着いてセンセとお話をしよう」
			どれも別情報ですか?
		
語り手 同じ情報ですので、いずれか成功すればお出しできます。
			津江村 馨
			CCB<=31 【薬学】 (1D100<=31) > 45 > 失敗
			CCB<=68 【医学】 (1D100<=68) > 37 > 成功
		
語り手 あなたは【本草学】【本草綱目】について知っていました。
津江村 馨 優秀ですね。
			語り手
			ええ、東洋医学にも詳しいお医者様でいらっしゃいますね。
			さて……十三が言っているのはおそらく「本草綱目」という本のことだと思うでしょう。
		
			注記
			本草学:古代中国の薬学と博物学に端を発する学問。薬効のある動植物や鉱物の研究、不老不死の仙人となるための霊薬を生成する錬丹術などに関係が深い。
			本草綱目:明の時代に出版された本草学の大著。収録されている薬種は一八九二種。全五十二巻にも及び、その最終巻は、『人体の薬物利用』について書かれている。
		
			妹尾 十三
			「この指をやったのはアニキです。ふたりで喧嘩になったとき、アニキが齧り取ってしまったのですよ。あのときはアニキがすっかり気狂いになってしまったのだとばかり思っていましたが、なんのことはない、彼はただの人食いだったのです」
			「本当です! センセ、確かな、確かな証左があるのです!」
		
語り手 そう言って十三は、ベッドシーツを再び剥がし始めます。
津江村 馨 「センセは十三くんを疑っているわけじゃないよ。ね、最近はお薬は貰っているかい?」
津江村 馨 ふえええん……
妹尾 十三 「薬……ええ、下男が持って来てくれますが、しかし、しかし……」
津江村 馨 「………飲んではいない?」
			妹尾 十三
			「ああ、そんなことよりも……ない…ない! ねぇセンセ。今日はどうやら見つからないようです」
			「あれがないと、僕はもう死んでしまうかも知れません」
			「ああきっとアニキに見つかってしまったのだ。秘密を知った僕は、もうすぐ食べられてしまうでしょう」
		
津江村 馨 「だいじょうぶだよ。十三くんはまだ元気だ。……センセが兄さんに、それとなくお話を聞いてみようか?十三くんほどではないが、なにかわかるかもしれない」
語り手 十三は苦しそうに頭を抱え、ベッドの上で身体を曲げます。
津江村 馨 背中をさする……
			妹尾 十三
			「そんな、センセまで危険な目に遭わせるわけには……嗚呼……」
			「ああセンセ、僕が死んだら、もし僕が死んで、もし骨が残ったら――どうかお願いしたいことがあります。胸が、詰まりそうです。今度ぜひ、お話をさせてください。今日はもう、頭が破れてしまいそうです」
		
			津江村 馨
			「うん、わかったよ。さ、息を吸って……。呼吸が乱れると、頭も回ってしまう。これを整えたら、今日はもう休んでしまおう」
			「たくさんお話を聞かせてくれたからね。センセはまたくるから、その時にまた聞かせてほしい」
		
語り手 十三はあなたに宥められ次第に背中を丸め、うずくまってシーツに額をこすりつけることでしょう。ふぅーと深い呼吸が一つ聞こえしばらくしたあと、あなたの腕が掴まれます。
妹尾 十三 「薬を、薬をください! ここの薬は頭がぼんやりとするばかりだ! 前の薬をください! ぼんやりとして――僕はすっかりおかしくなってしまった!」
			津江村 馨
			「十三くん、落ち着いてください」
			「僕の声が聞こえますか?………」
			看護婦を呼ぶことはできるでしょうか。
			少し興奮気味な様子だ…
		
			語り手
			あなたが優しく声をかけ続けると、十三の呼吸は少しずつ穏やかになっていくように感じられます。
			<精神分析>で落ち着かせることは出来るでしょう。
		
			津江村 馨
			ナント71もあります!
			CCB<=71 【精神分析】 (1D100<=71) > 28 > 成功
			ほぅらこの通り
		
			語り手
			あなたが宥め続けていると、やがてあなたの腕の下からすぅすぅと小さな寝息が聞こえます。
			ベッドの上にうずくまったまま、疲れ果てた子供のように十三は寝入るでしょう。
		
			津江村 馨
			「……これは…そうだな。体力も消耗してしまうだろうね。参ったな」
			呟きながら、ベッドを整えられるだけ整えてあげよう。
			この部屋にはほかの患者もいたのですか?
			そこそこ騒いでしまったけれど、今はどうしていますか?
		
			語り手
			他の患者もいますが、皆一様にぼう、と虚空を見つめているでしょう。あなたがたに対し何の反応も示しません。
			ここで<聞き耳>をどうぞ。
		
			津江村 馨
			聞き耳と共に、彼が使われていた薬のことかな…?というのを探りたいです。
			というより、薬の副作用のような「ぼぅ…」なのかどうかを。
			CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 67 > 成功
		
語り手 鋭いですね。院内に獣じみた臭気が漂っていることに気づけるでしょう。
津江村 馨 なんか人間を食うっていうと怖いけれど、これはクトゥルフですよと言われると「そうだな」とすべて納得してしまうから困ってしまうのよね
語り手 薬については、現在の担当医である真崎医師に聞くのが良いと思い至るでしょう。
津江村 馨 それもそうだね(名案)
			語り手
			ちょうど折りよく、病室前の廊下に大きな影がゆっくりと通り過ぎました。
			五十代の背の高い男で、カイゼル髭が印象的です。
		
			津江村 馨
			おや、ここの先生さんかな。
			知り合いだね…真崎さんか
		
真崎 敬之 「おや……これは津江村先生。どなたかのお見舞いですかな?」
津江村 馨 立ち絵が悉く好き………
語り手 それはよろしゅうございました。
			津江村 馨
			「ああ、真崎先生!丁度良かった。ええ、妹尾十三さんのお見舞いに」
			「今は彼は寝てしまいましたね……。…そう、彼のことで少しお話を伺いたいのですが」
		
			真崎 敬之
			「妹尾さんですか。構いませんよ。どうでしょう、少し院内を散歩がてら」
			「私は配膳室に用がありましてな。患者の皿を確認するのです」
		
津江村 馨 「ふふ、それではついていかせていただきますね」
語り手 二人は配膳室へ向かうべく、蝉の声が染みる廊下をゆっくりと歩き始めるでしょう。ややあって、真崎の方から話を切り出します。
真崎 敬之 「そういえば…妹尾さんは、食事の好き嫌いがあるのでしたな」
			津江村 馨
			あらまあ、そうなのですか?
			私は知っているかしら…
		
語り手 いいえ、一年前あなたが診ていた時は肉も野菜も好き嫌いなく食べていたと記憶しています。
津江村 馨 「好き嫌い、ですか?」
			真崎 敬之
			「必ず肉を残すのですよ」
			「たとえばシチューに鶏肉を入れると、血眼になってスプーンで掘り返し、肉を別の皿により分けるのです」
		
津江村 馨 「…菜食になられた、というものでもなさそうですね。…強迫的なものでしょうか」
真崎 敬之 「滋養にいいのですがね、鶏肉は……。勿体がないため、今は魚を食べさせるようにしています」
津江村 馨 「魚なら食べるのですね」
			真崎 敬之
			「さよう。菜食しか受け付けられないわけではなさそうですな」
			「……なるほど、津江村先生はこのことをご存知では無かったのか。最近食の嗜好が変わったのですかな……」
		
			津江村 馨
			彼が「滋養に良い」といっていたところに心理学をなんとなく
			彼の体を案じているのか、なにがしかの裏があるのかを見てみたいです。
		
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85/4 真崎への心理学 (1D100<=21) > 19 > 成功
		
津江村 馨 「ええ。私の見ていた十三くんは、肉を食べないなどの傾向はないように思えました」
語り手 そうですね……あなたは真崎の目にかすかに浮かぶ「心配」「気遣い」を感じ取れるでしょう。
津江村 馨 なるほど、ありがとうございます。
真崎 敬之 「そうでしたか……しかし今はあのとおり。栄養が不足するのも当然で、ソマトーゼを処方させていただいておりますな……」
			津江村 馨
			「ソマトーゼ、滋養強壮剤ですね…。それでも、そればかりでは身がもたないでしょう」
			「………真崎先生。彼は先程話した際、自分の兄は人食いだ、と怯えていました。…妄想が固着してしまっているのか、少なくともそこに”肉を食べられない”という理由があるように思えます」
		
			真崎 敬之
			「人食い……ですか……ああ、それで……」
			「そのご兄弟が月に一度様子を見にいらっしゃいますな。その度に患者が興奮しますので、やや困るところではありますが……なるほど、合点が行きましたな」
		
			津江村 馨
			「ああ…。……ここに入院していることも分からずに、家にいると認識しています。彼の病状は悪化しているように思えてならないのです」
			私の見ている頃から兄との仲はあまり良くなかったのでしょうか。
			兄の方は弟を献身的に面倒見していたようですが…
		
語り手 兄の文恒は仕事も忙しく、あなたとはあまり関わっていなかったようです。主に十三の面倒を見ていたのは、今は鬼籍に入られてしまったご両親でしょう。
津江村 馨 ほんまや書いてあった
			津江村 馨
			「私は、ご兄弟の方とはあまりやり取りをしていなかったので……そうですか、興奮してしまうのですか」
			「……彼の、指はどうなさったのでしょう」
		
真崎 敬之 「小指ですか? ええ、ここへ入ってきたときには既に失せておりました。継いだ痕も見当たりませんでしたから、古傷とばかり思っておりましたが」
津江村 馨 私の見ていた頃には、まだ小指は健在だったでしょうか
語り手 はい。一年前までは五本の指はちゃあんと揃っていました。とても一年であのようにつるつるとした傷跡になるとも思えませんが。
津江村 馨 「一年前まではあのような傷は…。傷の状態も、一年よりもっと前でなければあのような風にはならないものに思えたのですが、やはり何度思い出してみても指は五本とも健在でした」
真崎 敬之 「そうですか…それはおかしな話になってしまいますな」
津江村 馨 先程の「すでになくなっていた」の部分の真偽を。心理学をお願いします。
津江村 馨 心理学ブンブンブンブン!!
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85/4 真崎への心理学 (1D100<=21) > 97 > 致命的失敗
		
津江村 馨 まるで拾ったいい感じの小枝かのようにブンブンブン
語り手 真崎医師の表情は乏しく、声に感情を乗せずに喋っています。心理学に長けたあなたから見れば、これが自分の心理を読み取らせないよう意図的に行っているものと分かることでしょう。そうして注意深く彼の様子を観察しておりましたが、やはりなにも感じ取れるものはありませんでした。
			津江村 馨
			「おかしな話になってしまいますね……。私としても、いち医師として…彼の病状改善に何か手助けを出来ればと思っています」
			立ち止まり、真崎先生をまっすぐ見ます。
			「もう私の手を離れて久しいですが……それでも、どうやら彼はまだ私を頼ってくれています。それに答えたいのです」
		
真崎 敬之 「妹尾さんが…そうですか」
			津江村 馨
			「もちろん、今の彼を診ているのは真崎先生でしょう。私は真崎先生の医術には信頼を置いています」
			「……私は所詮、若輩者です。ですが………」
		
真崎 敬之 「まさか、そのようなこと」
			津江村 馨
			このひと顔のよさを武器として使い始めてるかもしれない
			APP16は強いなあ…
		
真崎 敬之 「参考に当院での妹尾さんの治療について説明しましょう。現在は安定しておりますので、作業療法と、水治療を週に三度。典型的な偏執病、パラノイアでありますから、さして変わったことはしておりません。薬餌にバターを混ぜると心持ち安定するきらいがあります。少々痩せぎすですので、ソマトーゼを処方することもあります。咳の多い日は沃剥(ようポツ)を少々」
注記 〔注:ソマトーゼは滋養強壮剤。沃剥とはヨウ化カリウム(慢性の気管支炎や喘息などに用いられた薬)のことである〕
真崎 敬之 「まだまだ発展途上とは言え、今なお祈祷、禁厭、灌瀧が幅を利かせておりますな。田舎では獣の黒焼きなぞを飲ませては、強力を使って患者を滝壺に叩き込んでいると聞き及んでおります。大変に嘆かわしいことで」
注記 〔注:禁厭とは呪いのこと。灌瀧とは、瀧行のように頭部を瀧に打たせる民間療法のこと〕
			津江村 馨
			み 水治療…?
			水治療 理解
			ボコボコしてるお風呂のようなものですね
		
真崎 敬之 いわゆる、温泉ですな。
津江村 馨 「…偏執病の治療ですね。作業療法は私のときもやらせていただいていました。あとは、そう……バルビタールを処方していました」
			真崎 敬之
			「今は処方できる薬も限られておりますからな…」
			「未だ精神病者の扱いは、欧米諸国に比ぶべくもないほどに行き届いておりません。今朝も簀巻きにされた患者が表を運ばれているのを見ましたが、まるで、古布団を捨てに行くかの有様でした」
		
			津江村 馨
			「……善いとはとても、言えませんね。風邪の患者を簀巻きにすることは誰もしないというのに、何故でしょう……。頭か体かの違いしかないでしょうに」
			「……この考えにも、問題はあるのでしょうか」
		
語り手 あなたの言葉を聞いて、真崎医師は興味深そうに視線を向けカイゼル髭を摘まみ上げました。
津江村 馨 私も温泉に入りたいですぅじたじたじたじたじた
真崎 敬之 「津江村先生も、現状を憂いていらっしゃるのですかな。近々、論文の発表が求められておりましょう」
津江村 馨 「ええ。何分このような思想でありますから、この現代日本ですときっと鼻つまみにされるでしょうね」
			津江村 馨
			この時代にこんな考え方してる女装男子はなかなか生き辛そう
			いや、どうなんだろう……!?
		
真崎 敬之 「先生はまだお若い。今は時代の潮目でもありましょう。思い切って、身を乗り出してみては」
			津江村 馨
			「では、その時には真崎先生にも背を押す役目をしていただきましょう。もちろん、きちんとした服装をさせて頂きますよ」
			このような服ではなく、とくるりと一回転。裾がふわりと舞うでしょう。
		
津江村 馨 女装を楽しんでるな先生
			語り手
			SCCB<=85/4 真崎への心理学 (1D100<=21) > 81 > 失敗
			明治期に作られた板ガラスは波打っており、そこから差し込む夏の日差しはわずかにうねった影をあなたたちに落とすでしょう。揺らぐ夏の日差しに透ける薄生地のスカートをひらり、涼を感じさせる風を作り…。真崎医師は静かにそれを見つめていました。
		
津江村 馨 メスを武器にしている
津江村 馨 特に意味もなくAPPロールでもしてみたいですね
			津江村 馨
			うわああ~~~~ん 描写が好き……
			夏 夏です
		
語り手 それではAPP16とのPOW対抗をシークレットで振ります。
津江村 馨 わくわくしますね。
真崎 敬之 SRESB(18-16) POW18 vs APP16 (1d100<=60) > 78 > 失敗
語り手 SCCB<=85/4 真崎への心理学 (1D100<=21) > 63 > 失敗
津江村 馨 真崎先生、POW設定してなかった…?
語り手 真崎医師が少し口数少なに押し黙ったような気がしますが、彼の真意は変わらぬ表情から読み取ることは叶わないでしょう。
			津江村 馨
			「…どうしました?」
			いたずらな瞳で見上げましょう。長身とあったので。
		
真崎 敬之 「いいえ、大変良くお似合いだと思ったもので」
			津江村 馨
			う~~~ん、なにかがセンセにおきている
			とっても楽しいです
		
津江村 馨 「ふふ。お忘れですか?私は男ですよ」
真崎 敬之 「そうでありましたな」
津江村 馨 「ええ。これも、うちの病院のものに着せられているもの。ね、そうでしょう?」
津江村 馨 無限に笑っちゃいますねこれ
真崎 敬之 「制服ですか、んん。西洋は進んでおりますな…」
津江村 馨 「私たちも思想を変えるべきときですね。さて、そろそろお散歩は終わりましょう。配膳室はもうすぐそこです」
			語り手
			ふたりはいつの間にか配膳室の前までたどり着いていたようです。真崎医師は「ではまたのちほど」と頭を下げて、配膳室へ去ろうとしました。
			扉に入る直前、真崎医師が振り返ります。
		
真崎 敬之 「もしよろしければ、妹尾さんの兄君に妹尾さんの様子をお伝えください。兄君はあまり落ち着いて弟君とお話できておりませんからな…」
津江村 馨 「ええ。では、お話を。……また伺いますね」
語り手 ── 第一回 終。
語り手 本日はここまでといたしましょう。次回は、妹尾邸からです。
			津江村 馨
			はい、わかりました。
			本日はとても楽しませていただきましたよ、語り手さん。
		
語り手 それはよろしゅうございました。
			津江村 馨
			CCB<=16*5 APPロール (1D100<=80) > 78 > 成功
			ニコッ
		
			語り手
			妹尾邸の住所は手紙に貰った通りのものであり、西区です。タクシーか馬車で…おやおや。
			CCB<=17*5 POW×5 (1D100<=85) > 11 > スペシャル
			にこ……
		
			津江村 馨
			choice[タクシー,馬車] どっち? (choice[タクシー,馬車]) > タクシー
			おやおや……
			連れない方ですのね?
			では、タクシーで向かうところからですね。
		
語り手 承知いたしました。
			津江村 馨
			そしたら、KPも語り手さんもゆっくりおやすみを…
			本日はお疲れさまでした。
			明日もよろしくお願いします。
			だだんだんだ待機だん
		
			語り手
			お疲れ様です。すでにおいでになられてましたね。
			それでは時間となりましたので、始めましょう。
		
津江村 馨 始めていきましょうね、うふふ
注記 〔注:池田脳病院は北区、妹尾邸は西区である。鉄道網が現在ほど充実していないため、移動方法は馬車やタクシーがあるだろう。タクシーはT型のフォードがメジャーであった〕
			語り手
			 
			 
			《妹尾邸》
		
津江村 馨 ああ~~~~ 白黒になった ああ~~~~~
			語り手
			平屋の大きな家です。両親祖父母も既に鬼籍に入り、現在は兄の文恒だけが暮らしています。
			探索者が十三を看ていた頃は主に両親とやり取りを交わしていたため、文恒と直接話したことは殆どありませんでしたが、お互い顔は見知っているでしょう。
			玄関脇に呼び鈴が付いています。
		
津江村 馨 呼び鈴を鳴らしましょう。ここも暑いですね…
注記 〔注:この時代の呼び鈴とは主に、紐を引くと邸内で鈴が鳴る手動式のものを指す〕
津江村 馨 りりんりりん
語り手 ちりん、と鳴らすと玄関扉の向こうから衣擦れが聞こえます。
妹尾 文恒 「ああ、これはセンセイ。お久しぶりでございます」
津江村 馨 あああ~~~~ いい立ち絵ですね…このシナリオの立ち絵は本当に
語り手 兄の文恒(ふみひさ)が玄関の引き戸より現れ、応対してくれることでしょう。
津江村 馨 「お久しぶりです。お元気そうで何より」
妹尾 文恒 「ええ、おかげさまで。八月の終わりも近いとはいえ、まだまだ暑い盛りですね」
			津江村 馨
			「こうも暑いと、暑気負けにもなってしまいます。……ああ、私は……ご両親方へのご挨拶もまだでしたね」
			「改めて、お悔やみ申し上げます」
			などのひととおりの挨拶を……。
		
妹尾 文恒 「わざわざありがとうございます。ああ、こんな日の照った場所にいてはいけません、お茶を出しますので、ぜひ中へ。さあ」
津江村 馨 「すみません。ご厚意に甘えさせていただきます」
語り手 文恒はあなたを居間へ通すでしょう。びいどろの薄い容器に氷と沸かしたばかりの茶を淹れて、あなたの前に出してから腰を下ろします。
津江村 馨 氷はとても嬉しいですね…
妹尾 文恒 「懐かしいですね、一年ぶりでしょうか」
津江村 馨 「ええ…もうそんなに経ってしまわれましたか」
妹尾 文恒 「脳病院へは弟の様子を見に行きますが、なかなか難しいものですね。先日は水差しを投げつけられ……」
			津江村 馨
			来るときは事前にLINEでアポ取ってよ、と言われない時代
			ありがたいですねえ
		
妹尾 文恒 まさかまさか、そのようなこと。センセイのお越しでしたらいつでも歓迎いたします。
			津江村 馨
			「…実は私も先程、十三くんのお見舞いに行きまして。……」
			そっと目を伏せる。ほのかに青がかった瞳に、長い睫毛の影が落ちるでしょう。
		
津江村 馨 アラ嬉しい お兄さんには特別にサァビスしちゃおうかな、センセイ
妹尾 文恒 「あれから一年も経つのに、いまだ弟を気にかけてくだすって、本当にありがたく存じます」
津江村 馨 「…いいえ。元担当である患者を一年も放置していた、というのも正しい言い方なのです。……それでも、池田脳病院への入院は迅速であり正しい処置でした」
妹尾 文恒 「そうおっしゃっていただけますか……両親が他界してからというもの、弟を己一人で世話をする自信がなく。きっと冷たい兄だと……怒っているのでしょうな……」
			津江村 馨
			「そう自分を責めないでやってくださいな。いいですか、病気の患者の世話というものは、病院でも医師と看護婦が交代で当たるものです。それをおひとりで、というものは大変に…そう、大変に酷じゃありませんか」
			精神分析をしつつ、彼の本心(?)を見抜いてしまいましょう。
			心理学を一緒におねがいいたします。
		
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 100 > 致命的失敗
		
津江村 馨 CCB<=71 【精神分析】 (1D100<=71) > 64 > 成功
語り手 聞き耳をどうぞ。
			津江村 馨
			あら?
			CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 29 > 成功
		
津江村 馨 ここまでの成功率が9割を切っている
語り手 微かな獣臭がどこからともなく漂ってきます。文恒を見やれば、顔の前で指を組みその表情を悟らせようとしないように見えるでしょう。
津江村 馨 (表情を読まれたくなさそうだ。…獣臭、病院でもあったな)
			妹尾 文恒
			「……私には……弟が己にだけ怒っているように思えてならないのです。真崎先生に伺ったところ、己が会いに行く時はより酷く興奮するのだとか」
			「あれは兄のことが分からなくなってしまったのでしょうか」
		
津江村 馨 「……彼の抱えている偏執病とは、そういうものです。ただ、ぜんぱん、周囲のものをうまく認識できていないのは……あまり、宜しくない傾向でもあります」
妹尾 文恒 「そうですか…十三はなんぞ、センセイに失礼なことはしませんでしたかね」
			津江村 馨
			「いいえ、それに関してはご心配なさらず。お茶を入れようとしてくれたりしましたよ」
			その時に起こったことは言わないようにしましょうね…
		
妹尾 文恒 「茶ですか……はて、脳病院では十三にそんなことを許していたのですね。弟は私がこうして客人に茶を出してもてなすと、自分もとよく真似をしてきたものです…ああ、懐かしい」
津江村 馨 「昔は仲がよろしかったのですね。…こうして話すのも、思えば初めてかもしれません。少しばかり、思い出話を聞かせてはくれませんか?」
			妹尾 文恒
			「思い出話ですか……まだ十三の部屋をそのままにしているのですよ。あれは帝都の学校に行くつもりでいましてね」
			「あれが調子を持ち崩してからは私室から万年筆など取り上げてしまいましたが……本は読んでおりましたな」
			「いずれは偉くなって海を渡り、学を修めるのだと息巻いておりました」
		
			津江村 馨
			ああ~~~~~~~
			あああ~~~~~~~(頭抱)
		
妹尾 文恒 「……それが、一体なぜ……」
			津江村 馨
			「……部屋などを、見せていただいても?」
			「もし彼がなんらかの手記などを残していれば、それが案外に発症の……”ほんとうの”きっかけを教えてくれるかも、と思いまして」
		
妹尾 文恒 「なるほど……ええ、もちろん。構いませんよ」
			語り手
			文恒は廊下の奥へとあなたを案内する事でしょう。
			 
			 
			≪十三の部屋≫
			廊下側の壁は取り払われ、代わりに格子が嵌っていました。窓には鉄棒が縦横に差し込まれ、今は外から雨戸が立てられており、ひどく暗い様子。
			素人目であろうと、ここが私室を監置用に改造したものだと分かるはずです。私宅監置の実際は、殆どが牢獄よりなお惨憺とした環境である中、この清潔な部屋を監置室とされていた十三は破格に恵まれていたと言えるでしょう。
			十三の部屋は綺麗に片付いており、大きなベッドと楢材のキャビネットがあるのみです。
		
妹尾 文恒 「こちらです、センセイ」
語り手 文恒も部屋についてきて津江村先生の挙動を見守っているようです。
			津江村 馨
			私はこの部屋を訪れたことは…あるのでしょうかね。
			診察をこの部屋で行っていたのでしょうか。
		
			語り手
			はい、ございます。ここは私宅監置室であり、妹尾十三はここで一日のほとんどを過ごし、時折訪れる津江村先生のことを待っていました。
			キャビネットには十三のものらしき古い歯型が幾つかついていました。引き出しは完全な取り外しができないように改造されたもので、キャビネット自体も壁にしっかりと固定されています。
			このような安全措置はかつて貴方が十三の両親にそう指示したものでしょう。
		
			津江村 馨
			懐かしげにキャビネットを指先で撫でます。
			埃が積もっている、などもあるのでしょうか。
		
語り手 薄く埃が積もっております。ふと、キャビネットの引き出しが開けられることに気づくでしょう。上下で二段です。
			津江村 馨
			「…中を見ても、いいでしょうか」
			文恒さんに声をかけ、下の引出から開けてみましょう。
		
妹尾 文恒 「はい。ガラクタしかありませんが、構いませんよ」
津江村 馨 カタタ……(開閉音)
			語り手
			あなたが下の段の引き出しを開けると、中には日記がありました。ぺらぺらと開いてみれば、ページが5枚ほど千切り取られています。
			支離滅裂な言動と、精神不安を訴える内容がほとんどを占めておりましたが、残されたページの最後の言葉は──
		
妹尾 十三 『アニキには言えない。センセに話さなくちゃ。』
			津江村 馨
			「………」
			黙ってそれを読みます。
		
語り手 あなたがそれを見ていると、耳元に文恒の吐息が掛かりました。
			津江村 馨
			ひっ
			あっこれ なるほど
			はあん
		
妹尾 文恒 「弟の日記です。一体なにを言っているんでしょうか、あれは」
			津江村 馨
			「……文恒さんも、読まれたのですか?こちらは」
			多少驚きはしますが、努めて冷静に。
		
			語り手
			ふとキャビネットの辺りを見ると、キャビネットと壁との隙間に紙片が覗いていることに気づきます。罫線の幅から、千切り取られた日記の一頁であることは明らかでした。
			あなたのすぐ後ろでは、文恒があなたの肩越しに日記を覗き見ています。
		
津江村 馨 アダダルティなのを見てしまった気分ですね 音が消えた
妹尾 文恒 「……」
津江村 馨 さも読み終わったかのようにキャビネットの中に戻します。
			語り手
			キャビネットの下の引き出しに日記を静かに仕舞い込むことができるでしょう。
			さて……キャビネットと壁との隙間に紙片を文恒に知られないよう、自身の掌の中に握るこむのであれば<隠す>をどうぞ。
		
			津江村 馨
			手先の器用さを見せつけて差し上げましょう。
			CCB<=85 【隠す】 (1D100<=85) > 98 > 致命的失敗
			??????????
		
語り手 さようでございますか。
津江村 馨 さようでございました。
妹尾 文恒 「おや、センセイ。それは?」
津江村 馨 「えっ………ええ。なにかごみが挟まっているのかと」
津江村 馨 せっかくのファンブルなのに差分名をミスして不発に終わったくやしさ
語り手 あなたがそう伝えると、文恒は覗き込みます。十三の日記は彼と読むことになります。
妹尾 十三 『私の日記の大事な部分は、安全な場所に隠してしまいました。なぜこんな事をするのかとお思いでしょうが、これをしなくてはならないのです。今となっては、真実をひとつところに置いておくほど、危険なことなどないのです。』
津江村 馨 「……に、っき……でしたね。あはは」
語り手 それ以上のことは書かれていませんでした。詳細を聞くのであれば、明日以降十三本人に尋ねるほかないでしょう。幸いなことに明日も休日ですから、池田脳病院を訪ねることはできましょう。
妹尾 文恒 「さようですか……日記を……どんなことを書き留めていたのか……」
語り手 引き出しはもう一段ございますが、いかがなされますか?
津江村 馨 おにいちゃんもそりゃ気になりますわよね
			津江村 馨
			このような手前、見ないわけにはいきません。
			腹をくくりましょう。
			上の引出に手をかけます。カララ…
		
津江村 馨 音が戻った………
			語り手
			キャビネットの一番上の引き出しを開けると、ひしゃげたスプーンや短い麻紐などのガラクタにまじり、小さな骨片を発見できるでしょう。
			それがなんであるのか調べるのであれば、〈医学〉または〈生物学〉を振ることができます。
		
			津江村 馨
			では持ち前の医学の知識を。
			CCB<=68 【医学】 (1D100<=68) > 78 > 失敗
			えっ!?
		
津江村 馨 ケンタッキー食べたあとだったのかな…
津江村 馨 「………骨?」
			語り手
			やや角が取れてしまい、判別は難しかったのでしょう。
			その骨はどうされますか?
		
			津江村 馨
			小さな骨を手に取ってみます。
			お兄さんは接骨を生業としているし骨にはお強いでしょうが……
			(わからないな)と……
			ちらりと兄様を見ます。
		
妹尾 文恒 「……それは…… 人間の指先の骨――末節骨ですね。なぜこのようなところに 」
津江村 馨 「ゆびさき…………あっ」
妹尾 文恒 「なにか?」
			津江村 馨
			一応、「何故このようなところに」のところに心理学だけ噛ませます。
			思い当たりは本当にないのかどうか、を。
		
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 69 > 成功
			彼は本当に心当たりが無いように感じられるでしょう。
		
			津江村 馨
			ふむ、妄信しない程度に過信しましょう。
			「…十三くんの右手の小指が、欠損していたのを思い出しまして」
		
			妹尾 文恒
			「弟の小指は――そうか、センセイはご存知ありませんよね」
			「あれが今の脳病院に入る少し前、屋外で運動をさせている時、突然垣根を飛び越えて、行方をくらましたことがありました」
			「すぐに警察に届けて、あちこちを捜しまわりましたが甲斐もなく――半月ばかり経ったある日、開け放した十三の部屋でうずくまっているところを見つけました」
		
			津江村 馨
			ええ!???!?
			そんなことが
		
			妹尾 文恒
			「すると、どうしたことか、そのときには小指が失せていたのです。しかしまぁなんと言うか、実にこれが不思議なことなのですがね、出奔する日の朝までは確かに指はちゃんと付いていたように思うのですが、指が失せて帰ってきたとき、弟の手には血の一筋も垂れていやしないばかりか、継いだ痕すらなかったのです」
			「まるで数年前の古傷か、もともと付いてさえいなかったのかというふうに」
		
津江村 馨 それ小指をもとに複製されてません?
			津江村 馨
			「……初耳でした。そんなことが…」
			「その半月の間のことも、彼は語っては……」
			くれましたか?というのを暗に聞いてみたり…
		
			妹尾 文恒
			「いいえ……何も……」
			「どう過ごしていたのか、何も分かりませんでした。支離滅裂な言葉ばかりで」
		
			津江村 馨
			「……で、ありますか…」
			「この骨は……小指のものであるかどうかは分かりますか?」
		
			妹尾 文恒
			「これはおそらく……長さからして小指でしょう」
			「……まさか、これが十三のものであると?」
		
津江村 馨 さすがにこの時代だと骨から個人を特定するのはできな……いですよね…?
語り手 そうですね、難しいでしょう。
			津江村 馨
			そうですよね~~~!
			わかりました…ふふ
		
津江村 馨 「…憶測でしかありませんが……」
妹尾 文恒 「そう……ですか……」
			津江村 馨
			「ただ、そうなると何故この部屋のキャビネットの中にあったのか、が分からないというのもあります」
			「…とにかく、これはなにかで包んでおいた方がよさそうですね」
		
妹尾 文恒 「ええ……預かります」
語り手 骨を渡しますか?
津江村 馨 「………その、私が持っていてもよいでしょうか?」
語り手 文恒はやや眉を顰めて首を傾げ、あなたを見つめます。
妹尾 文恒 「それは一体、なぜ……?」
語り手 交渉技能をどうぞ。
津江村 馨 そらそうよ 何故持ちたがる
			津江村 馨
			「いえ、これを真崎先生にも見せておきたくて…。先生もまた治療に当たっているので」
			信用…
			CCB<=65 【信用】 (1D100<=65) > 74 > 失敗
			調子に乗り出しましたね?出目くん
		
妹尾 文恒 「……いくらセンセイとはいえ……その……」
津江村 馨 「…すみません。そうですよね」
語り手 文恒は一息つきながら、ベッドに座ります。
津江村 馨 ギシッ…
妹尾 文恒 「センセイ――センセイから見て、弟の様子はどうでしたか。あれは生涯、あのまま元には戻らないと思いますか」
津江村 馨 交渉:APPの出番か
妹尾 文恒 「センセイもご存知の通り、あれは生来頭の利発な子供だったのです。柳川師範学校を出るまでは、それはもう勉強熱心な奴でした。たんと本を読み、将来は帝都で教授をやるのだと息巻いていました。それが今ではあの有様で――己はそれが悲しくてなりません」
			津江村 馨
			「……率直に申し上げますと、よい状態とはとても言えません。私が見ていた頃よりも、悪化しているのは確かです」
			「生涯あのようなままであることも、………一概には言えませんが。今の、この日本の技術では………完治はおろか、好転するのも」
			最後の言葉まで言えず、うつむいてしまいます…。
		
			語り手
			文恒はその続きの言葉を知っているように、同じく項垂れてしまいます。
			あなたが彼のその様子を見ていると… <目星>をどうぞ。
		
			津江村 馨
			CCB<=25 目星は数少ない初期値の技能なのです (1D100<=25) > 85 > 失敗
			なんてことでしょう
		
			語り手
			あなたは何かが目はしに映ったような気がしましたが、それを見つけることは叶いませんでした。
			また、<聞き耳>をどうぞ。
		
			津江村 馨
			CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 11 > スペシャル
			あら、急に青く
		
語り手 十三の部屋に獣臭のようなものが薄く残っている気がしました。
			津江村 馨
			「……また、この臭い」
			小さく呟いてしまいます。無意識に…
		
妹尾 文恒 「におい?」
			津江村 馨
			「え?………あ」
			「いえ………」
		
語り手 文恒は鼻をひくひくと動かして不思議そうな顔をし、首をかしげて窓に手をかけます。
津江村 馨 「……度々、におうのです。獣のにおいが」
妹尾 文恒 「はて、そんな臭いがしますか」
語り手 文恒は換気のために窓を開けます。生ぬるい風が室内に吹き込み、庭木から濃厚な緑の匂いが押し寄せて、幽かな残り香も散っていくことでしょう。
津江村 馨 病院、家、部屋で獣のにおい…
妹尾 文恒 「あとでここは掃除しておきましょう、しばらく放ってしまっていたので」
			津江村 馨
			「……」
			夏風に身を委ねながら、あのにおいはなんだったのだろうとしばし考えてしまいましょう。
		
語り手 他に妹尾邸での用事はございませんか?
			津江村 馨
			今のところはなさそうですね。
			日記も見られちゃったしな………
		
			語り手
			承知いたしました。
			そうこうしているうちに、日が傾き始めます。
		
津江村 馨 ヒグラシだぁぁぁんんんんんn
妹尾 文恒 「日が沈んでまいりました。このあたりは夜になると野犬がでます。あれに襲われてはひとたまりもないでしょう。さあさ、おはやく。暗くなる前にお帰りください」
			津江村 馨
			もうだいぶ早い地点で野犬の予感はひしひししてるんですよお兄さん ねえ ねえ
			野犬(クトゥルフ基準)
		
			津江村 馨
			「ええ……」
			もう外に出るには暗すぎるなんてことはありませんか?
			いうなれば「今日は泊っていかれては」と家主が言い出しそうな(ゴネ)
			(なんとなくお泊りイベントしたいだけ)
		
			語り手
			………。
			承知いたしました。
		
津江村 馨 えっ いいんですか
語り手 ええ、構いません。雨を降らせましょう。
津江村 馨 語り手さんに擦り寄っちゃいますね。
語り手 ああ、それはお気遣い不要ですよ。
津江村 馨 雨だぁ~~~~~~~~~~~!
語り手 ……あなたが妹尾邸を出ようとすると、突然雨に降られます。
妹尾 文恒 「…おや、これはいけない。センセイ、傘は?」
			津江村 馨
			「あ、あら………?」
			「ええと………タクシーを使ったので、あいにく準備が…」
		
			妹尾 文恒
			「そうですか…止むまで待ちますか?」
			「ああいえ、そうすると明るいうちに帰れなくなりますね……」
		
津江村 馨 「…もう少し早く出ていればよかったけれど。……すみませんが、これが止まなければ一晩宿をお借りさせていただくことはできますかね…」
			妹尾 文恒
			「ええ、もちろん。夏とはいえ身体を雨で冷やしてはいけません」
			「部屋の用意をします。……両親の部屋か、十三の部屋かになりますが……」
		
津江村 馨 「そんな、お気遣いを……。ええと、……では、十三くんのお部屋をお借りできますか…?」
妹尾 文恒 「かしこまりました。待っていてください、今整えて参りますので」
津江村 馨 「…では、お台所を拝借できますか?材料があれば、お夕飯は準備させていただきたいです。屋根を借りるのですし」
			津江村 馨
			ひとんちのだいどこ借りるのはどうなの!?!?
			いやっ メシまで用意させるのはっ…
		
妹尾 文恒 「いえ、そんな。センセイにそんなことまでしていただくわけには。どうぞ今晩はここを我が家と思い、ゆっくりくつろいでいってください」
津江村 馨 「でも、なにもしないというわけにも…」
語り手 それでは、交渉技能をどうぞ。
			津江村 馨
			CCB<=65 【信用】 (1D100<=65) > 89 > 失敗
			出目が高々と両手をあげていますの
			癪ですの こいつでたたきつぶしますの(RPG)
		
			語り手
			どうやら別の方がお見えになられていますね。恐れながらこの場はお引き取り願いましょう。
			さて、文恒ですが「いやいやくつろいでください」と譲らぬ様子です。
		
			津江村 馨
			ここにいるのは僕です。ええ。
			では……少し縮こまりながら、客間でお茶をちびちびといただいていましょう。
			窓の外のやみそうにない雨を、恨めし気に見やります。
		
妹尾 文恒 「……退屈ですかな……本の一冊でも気晴らしにお見せできれば良かったのですが、あいにくと私は医学書しか持っておらず……」
語り手 そわそわと落ち着かぬ様子で、片づけを済ませたらしい文恒が向かいにすわります。
			津江村 馨
			「あっ……いえ。……こうして雨音を聞くというのもまた、いいものだと思っていまして」
			「医学書。…そういえば、本草学にもなにかご興味を持たれているのですか?十三さんから少し聞きまして」
		
妹尾 文恒 「センセイもあちらの薬学に興味がおありですか。数年前に『補注本草綱目』の名前で和刻本が出版されましてね。もし論文を書いたりするのに入用でしたら、お貸しできますよ。大変な重さなので、あまり持ち運びには向きませんが――」
			津江村 馨
			「そうですね…拝見してみたいものです。なにせこう、苦戦していますから」
			苦笑してしまいますね…
		
妹尾 文恒 「そうですか、では少々お待ちくださいね」
語り手 文恒はそういうと、腕を伸ばす準備運動をしながら居間を出ました。
津江村 馨 おにいちゃんもてなしてくれるなあ…
			津江村 馨
			「あっ…」
			行くものか待ってるべきか
			「……ぼっ、僕も行きます!重いものも手分けすれば…!」
		
			津江村 馨
			そういえばこの人はひとつ上なのね
			ほぼタメと言っても過言ではない
		
妹尾 文恒 「いえ、いえ。どうぞここでお待ちになってください。私の部屋はすぐそこなので」
			津江村 馨
			「ううっ……」
			すわ…
		
妹尾 文恒 私の方が兄ですよ。
			語り手
			さて、文恒のいなくなった居間を見渡せば、一人で暮らすには広すぎる家だと感じることでしょう。隅々まで細やかな手入れが施されており、丁寧な暮らしが感じ取れます。一年前と変わらぬ風景です。
			ぬるい風に撫でられたびいどろの器が小さな汗をかいています。そこから漂う爽やかな風味は静岡茶でしょうか。
			しばらくすると、文恒は自室から重たそうに本を三冊運んできます。全て合わせると五貫(18.75kg)ほどはあるかも知れません。確かに言う通り、あちらこちらに持ち運ぶのは現実的ではないと思うことでしょう。
		
津江村 馨 「ほ、本当にとても重そうですね……」
語り手 ポマードで整えられた前髪がひと房、文恒の汗ばむ額に張り付きます。そのまま文恒は、先生の横に『本草綱目』を置きました。
妹尾 文恒 「よい、しょ…と。いえいえ、これぐらいなんの」
語り手 さて、今あなたの目の前にある五貫もの重さの本。それら全てに目を通すのであれば、斜めに読んでも三日は掛かるでしょう。読む章をご指定いただくか、そうでなければ<図書館>をどうぞ。
			津江村 馨
			えっちな描写はおやめください 中にいるわたしが暴走してしまいます
			もっとやって
		
			津江村 馨
			人の肉を喰らうことに関する章を指定してみましょう。
			もしあれば…
		
語り手 最終巻の『人体の薬物利用』についてですね。
津江村 馨 ええ、ではそこを。
			語り手
			あなたは最終巻、五十二巻の『人体の薬物利用』の章を開き頁をめくっていましたが、あることに気づきます。
			一頁だけ綺麗に破り取られているのです。
			── 二日目 終。
		
津江村 馨 おやおやおやおやおや……
			語り手
			本日は以上といたしましょう。
			夜の続きはまた次回。
		
			津江村 馨
			はい。とても不穏な終わり方で満足しきりです。
			この日程で茶番を入れることは抵抗がありますが、このNPCとは交流を深めて損はないと私のカンが告げているのです。
			そしたらまた明日、よろしくお願いいたします。
			雨の音、もとい蝉の声と風鈴の音を聞きながらゆっくりおやすみを…
		
			語り手
			さようですか。ええ、是非とも交流されていってください。
			それでは、おやすみなさいませ。
		
			津江村 馨
			おやすみなさい。良い夢を。
			ドンドンドン!!!!ドンドンドン!!!!わたしです!!!!あけてください語り手さん!!!!
		
語り手 お早いですね。お待たせいたしました。(からからから
			津江村 馨
			ふう、外はさむくって。
			なんででしょうね?こんなに蝉が鳴いていて夏真っ盛りなのに。
		
語り手 それは雨が降っているからでしょう。さて、再開いたしましょう。
			津江村 馨
			ええ。
			この雨も、明日までにやめばよいのですが…
		
語り手 あなたは一頁破り取られていることに気づくかもしれませんが、それを見つめる文恒の視線は静かなものでした。
津江村 馨 それでも、カンカン照りよりはずいぶんましですね。瑞雨とでも言うべきでしょうか。
津江村 馨 「………ここは、元々ないものだったのでしょうか」
語り手 今年は雨の恵みにより豊作となると喜ばしいですね。
			津江村 馨
			つ、と破れた端を指先でなぞります。
			ささくれ立った紙が薄い皮膚を刺激するでしょうね。
		
妹尾 文恒 「それは気づきませんでした。買ったときから、失せていたのかも知れません」
津江村 馨 この雨が多くの命をはぐくむとよいのですが。
津江村 馨 心理学を。本当に知らなかったのでしょうか。
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 37 > 成功
			あなたがそう問いかけたとき、ふと文恒の視線が自然と廊下へ…そう、十三の私室のある方向へと向けられました。「知らない」と答えた声は少し上擦ったように聞こえ、あなたはそれが嘘であると感じるでしょう。
		
津江村 馨 「…そうでしたか。こんなに大きな分厚い本ですものね。その中の、ほんの一頁が失せていただなんてわかりません」
語り手 〈アイデア:1/2〉〈医学〉〈薬学〉で破り取られた頁には本来何が記述されていたのか、思い出すことが出来ます。
			津江村 馨
			では順繰りに数のちいさいものから挑戦しましょう
			CCB<=31 【薬学】 (1D100<=31) > 59 > 失敗
			CCB<=68 【医学】 (1D100<=68) > 33 > 成功
			今日のダイスは素直でよろしい。
		
語り手 博識でいらっしゃる。その破られた頁は『人魄(じんぱく)』について書かれていたのではないかと思うでしょう。
津江村 馨 (……人魄のページが、十三さんの部屋にあるのかしら)
語り手 魂魄…という言葉はきっとご存知ですね。そのうちの魄は肉体を支える気を指したのです。それを処方することで、精神を鎮めることができたと信じられていたようですね。
			津江村 馨
			ははん……いえいえ、知っておりましたよ。博識なわたしは、ええ。
			ええ(震)
		
語り手 本に目を通せば、とっくりと夜が更けるでしょう。文恒はあなたが読み終えるのを茶を飲みながら待っているようです。これからいかがなさいますか?
			津江村 馨
			借り物ですし、そこまで時間をかけるわけにはいきません。
			それはそれとして、資料になりそうなところはしっかり参考として写させていただきましょう。さらさらさらっと。
		
語り手 せっかくですのでEDU×5をどうぞ。要点を書き写せるでしょう。
			津江村 馨
			ふんむ、挑戦してみましょう。
			CCB<=17*5 知性を見せる (1D100<=85) > 21 > 成功
			ほぅらこのとおり
		
語り手 お見事。あなたは一晩で最終巻の要点をまとめることが出来たでしょう。
妹尾 文恒 「そろそろ就寝されますか。センセイ、明日のご予定は?」
津江村 馨 「ええ。…明日は………また、十三さんのところへお見舞いに行ってから…どうしましょうね」
			妹尾 文恒
			「ああ、また弟に会っていただけますか。ありがたい。明日はあいにくと私は仕事で埋まっており、見舞いに行くことがかないません」
			「己の代わりに、どうか。弟のことをよろしくお願いします」
		
語り手 文恒は膝を揃えて津江村先生に頭を下げました。
津江村 馨 「どうか頭を下げないで。私は、私がしたいからそうしているだけですよ」
妹尾 文恒 「……」
語り手 文恒は顔を上げると小さく頷き、そして本草綱目を抱えて自分の部屋へと戻ろうとします。
妹尾 文恒 「それではセンセイ、おやすみなさい」
			津江村 馨
			「ええ。おやすみなさい」
			私も借りたお部屋へ戻りましょう。
			戻って……すぐには寝ませんよ?やることをやってから寝ます。
			そう……ひとりになってからの家探しを。
		
語り手 おや。では十三の部屋に対し、目星かアイデアを、どうぞ。
			津江村 馨
			CCB<=25 ワンチャン目星 (1D100<=25) > 76 > 失敗
			やはり確実な方でいきましょう(掌回転)
			CCB<=80 【アイデア】 (1D100<=80) > 68 > 成功
		
語り手 あなたがベッドのシーツを改めていたとき、薬包紙に包まれた炭のような粉が、ベッドのマットレスの隙間に押し込まれていることに気づくでしょう。
津江村 馨 「……粉?薬?」
語り手 ええ。中を開けてみれば土のような炭のような粉末です。
津江村 馨 薬学、してみましょうか。
語り手 どうぞ。
津江村 馨 CCB<=31 【薬学】 (1D100<=31) > 73 > 失敗
語り手 薬包紙越しに透けて見えるこの粉は、あなたには処方したおぼえのないものでした。それしか分かりません。
津江村 馨 3が被ってるのでいけたことにしませんか?(ごねごね)
津江村 馨 (……処方した覚えもない。何の薬だろうか…)
語り手 なりませんよ。
津江村 馨 懐にそっとしまいます。
津江村 馨 この降りしきる雨のようにさめざめと泣いてしまいそう
			語り手
			また、キャビネットを見れば例の末節骨があることにも気づけるでしょう。
			布に包まれ、大事に仕舞われているようです。
		
			津江村 馨
			「……あれ?文恒さん、持っていったはずでは」
			(……僕が持っていったと、すぐわかってしまうだろうな)
		
語り手 いかがなさいますか。
			津江村 馨
			贋物……なにか、似たような小石を庭に降りて探せたらよかったのですが……
			そうすれば、布を開かない限りはなんとか大丈夫と自分を誤魔化せることはできますが
		
			語り手
			庭に出られますか。よろしいでしょう。
			雨の降り止まぬ夜更けに庭に出て、手頃な細く小さな石を探す。目星か幸運をどうぞ。
		
			津江村 馨
			濡れて困る衣服は脱いでおいて、そっと…
			CCB<=85 【幸運】 (1D100<=85) > 71 > 成功
			よし
		
語り手 それではあなたは布越しであれば目を誤魔化せそうな石を見つけることでしょう。
			津江村 馨
			(ああ、これなら…。あとは見つからないように部屋に戻れたら)
			こそ…こそ…
			
			ギッ…ギッ……
		
			語り手
			しっとりと髪は濡れましたが、文恒に気づかれず十三の部屋に戻ることができました。
			布の中身をすり替えてしまえば、しばらくは気づかれないでしょう。
		
津江村 馨 ふふ、ぬれねずみ
			津江村 馨
			(…ごめんなさい。こんなことをして)
			骨の方は紙にくるんで持ちましょう。
			荷物の奥底へ…。
		
			語り手
			承知いたしました。
			月が高く上がっていくのが小窓から見えるでしょう。そろそろ眠りにつきますか?
		
			津江村 馨
			夜更かしも明日に響かない程度にしましょうね。
			おやすみなさい…。
		
			語り手
			 
			 
			──翌朝。
			あなたは米の炊けたにおいで自然と目が覚めることでしょう。
		
			津江村 馨
			ああっ!!!!
			おなかがすいてしまいます
		
			津江村 馨
			「ふぁ………はぇ?」
			「あ………?ここ……………ああ、泊まって……」
		
語り手 居間へ向かえば白米、味噌汁、漬物、だし巻き卵の膳が並べられています。
妹尾 文恒 「おはようございます。ささ、召し上がってください」
			津江村 馨
			「おはようございます……。…」
			朝食らしい朝食になんだかぼう、としてしまう。
		
			津江村 馨
			choice[適当,ふつう,凝りめ] 食生活 (choice[適当,ふつう,凝りめ]) > 凝りめ
			えっこのひと えっ
		
妹尾 文恒 「私はこれより仕事ですので、いそがせていただきます」
津江村 馨 「あ、…なにもかもすみません。ありがとうございます……」
語り手 彼は箸を持って手のひらを合わせ、ぱんと乾いた音をさせたかと思うと白米を頬にかきこみはじめました。
語り手 料理がお好きなのですね。
津江村 馨 (いい食べっぷりだな…)
津江村 馨 だから昨日は作りましょうか、と申し出たのかもしれませんね…これは
			津江村 馨
			もくもく…炊き立ての白米とだし巻きをたべる。
			黄色の卵がなんておいしいこと
		
妹尾 文恒 そうでしたか……それは勿体のないことをしました。申し訳ない、この通り簡単なものしか作れず。だし巻き卵は……少々見栄を張らせていただき、頑張ってみたのですが。
			津江村 馨
			すこし焦げていそう
			でもそこがおいしい
		
津江村 馨 「…とてもおいしいです。料理も、きちんとなさるんですね」
妹尾 文恒 「ええ。とはいえ、まだ一年の腕ですが……自分が食べれればよいような具合になってしまいまして」
語り手 と、少し照れ臭そうに頬を掻きます。
			津江村 馨
			えっ え
			かわいい・・・・・・・
		
津江村 馨 「ふふ、ずいぶんとお可愛らしい…。おいしいですよ。特にこの、たまごが」
妹尾 文恒 「そうですか! いや、少し背伸びをしてみたのですが、さようですか。それは良かった」
語り手 そうして食事を終えると、あなたたちは妹尾邸を出て各々の用事のため出かけることでしょう。
			津江村 馨
			かわいい
			そういうことをするのやめてください
			ギャップ萌えに弱いんですよ、中にいる私は
			大好きになっちゃいます
		
妹尾 文恒 (きょと……)
語り手 さて、津江村先生は池田脳病院に御用があるのでしたね。早速ですが、参りましょうか。
			津江村 馨
			早速ですね。タクシーを使いましょう。
			なにせほら、遠いので。
		
			津江村 馨
			そういうところですよ。
			あらあらアブラゼミ
		
			語り手
			承知いたしました。タクシーですね。
			 
			 
			《池田脳病院》
			タクシーから降りれば、地面からむわりと熱気が昇ることに気づくでしょう。車内でも聞こえていましたが、蝉の声が一層身体を刺すように響きます。
			あなたが再び病室を訪れると、十三がベッドに座り、虚空を見つめています。しかしあなたの姿を認めると、十三は弾かれたように立ち上がり、ひどく安堵した様子で胸を撫で下ろすのです。
		
妹尾 十三 「ああ、センセ! ご無事だったのですね! アニキや下男の真崎に食べられてしまっていはしないかと、食事も喉を通りませんでした」
津江村 馨 「十三くん、来ましたよ。センセは無事です」
妹尾 十三 「ここだけの話、窓の外から見える道を行き交う人間のうち、もう半数ほどは人食いに変わってしまっています。ねぇセンセ、あなたは違うでしょう? あなたはまだ、元のセンセのままでしょう?」
			津江村 馨
			ひぎっ
			おっ おやっ おわっ あああっっ
			あながち嘘と言い切れないのがクトゥルフ
		
津江村 馨 「…センセはセンセのままですよ。こう見えて腕っぷしには自信がありますから」
			妹尾 十三
			「ああ、良かった! センセは柔術を嗜まれていたのでしたか? 趣味は身を助くと言いますものね。こうして座敷牢に閉じ込められるより少し前、私はカッフェ通いに狂っていたのですよ」
			「底濱駅近くの【倶楽部213】という、モダンなカッフェでしてね、そこでしばしば顔を合わせる呉という男に、僕は参っていました。細面の美丈夫で、逞しい青年です」
		
津江村 馨 かかかカッフェェ
			妹尾 十三
			「しばしば顔を合わせては、焼林檎やらクロークムシューやらを分け合い食べたものです」
			「クロークムシューという食べ物を知っていますか? こんがりと焼いたパンに、薄切りの肉を挟んだハイカラな食べ物です」
		
			津江村 馨
			choice[知っていますよ,食べたことはありませんね] (choice[知っていますよ,食べたことはありませんね]) > 知っていますよ
			「ええ、聞いたことがあります。まだその頃はお肉を頂けたのですね、十三くんは」
		
			妹尾 十三
			「ええ! なんの肉なのかと尋ねたら、『ムシューの肉だ』とからかわれました。ムシューとは、紳士という意味だそうですよ」
			「まだあすこ以外で見たことのない食べ物ですが、きっと欧羅巴あたりの人間が持ち込んできたのでしょう。ここは港が近いですから」
		
語り手 十三は大変楽し気に話を続けます。
			津江村 馨
			「そういえば、今日のお食事は何をいただきましたか?センセはね、たまごとお漬物をいただきましたよ」
			話題を合わせつつ、興奮して疲れてしまわないように制御(?)を。
		
妹尾 十三 「焼き魚を頂きました。ちゃんと綺麗に骨を取れましたよ。両親にはちゃんと躾けられたのです」
津江村 馨 「おや、お魚!いいですねえ」
妹尾 十三 「それから豆腐のお味噌汁を。センセ、ご存知ですか? 味噌も豆腐も全て大豆からなっているのですよ」
津江村 馨 日本人ほんと大豆すきよね
妹尾 十三 「僕には大変に不思議でなりません。いったい、節分に投げるあの豆がどうしてあんなにも多彩な変貌を遂げるのでしょう」
			津江村 馨
			「そうですねえ。あんなに小さなおまめだというのに、柔らかいお豆腐やおいしいお味噌になってしまうのですから。不思議です」
			「お醤油もそうですよ?あれも、じつは大豆でできているのです」
		
妹尾 十三 「醤油もですか? でもあれは汁ですよ。つまり大豆のお汁ということなのでしょうか」
語り手 いくらか血色を良くし、林檎色に染まった頬で前のめりになりながら興味津々といった様子であなたの話を聞くことでしょう。
			津江村 馨
			「あれはですね、豆と麦と麹を混ぜて”もろみ”にしていくのです。それをこう、絞って……」
			おしょうゆの解説をしてしまいます。ついつい熱が入ってしまいますね。
		
津江村 馨 元々の知識欲旺盛さが…
妹尾 十三 「もろみ。センセ、もういっかいもろみとおっしゃってみてください」
津江村 馨 「? もろみ、ですか?」
妹尾 十三 「……ふふ。なんだか可愛らしくておかしくなってしまいますね。どうしてこんなにふわふわと柔らかな音感触なのでしょう」
津江村 馨 「ああ、音が気に入ったのですね。お醤油のおかあさん、みたいなものなので…言葉がまるく感じるのでしょうか?」
			津江村 馨
			かわいい
			KPはもしかして可愛いと思わせようとしている…?
		
妹尾 十三 「お醤油のおかあさんだからまぁるくあたたかい響きなのですね」
妹尾 十三 ? 可愛いのはセンセですよ
			語り手
			そうですね……彼は二十歳を超えてはいますが、精神的なものによりやや少年のような言動が目立つことは知っていても問題ありません。
			彼は少年時代に同級生から乱暴を受けて、精神に変調を来たしましたので。
		
			津江村 馨
			「そうなのかもしれませんねえ。……そういえば、ですね。……」
			「…昨日の、お話したいことというのが、気になりまして。一体なんのお話をしたかったのですか?」
		
			妹尾 十三
			「……」
			「いいえ、ここでは言えません。何となれば、このベッドの下にも、あの悍ましい食人鬼が潜んでいるのですから。どうか後生です。私の日記を探してやってください」
		
			津江村 馨
			その辺はなんとなく察して、というのもおかしいですが…感じていましたねえ。
			まあ、多少の幼児退行は。
		
妹尾 十三 「ここだけの話です、私は人食いの連中が全体どこからやって来て、人間に成り代わり始めたかを知っているのですよ」
津江村 馨 「……きみの、部屋にあったものですね」
妹尾 十三 「はい。ですが残りを隠した場所は、ここでは言えません。呉を、追ってください」
津江村 馨 「……その男が、知っているのですね?」
			妹尾 十三
			「……」
			「センセ、センセはいつもその格好をされていましたか?」
		
			津江村 馨
			「……え?」
			「あ、ああ……諸事情あって、昨日と同じ格好ですが…」
		
津江村 馨 ちょっとえっちな言い方になっちゃいましたね
妹尾 十三 「異国の装いでしょうか? いいなぁ、僕も海を渡りたい」
津江村 馨 「ええ。…少しばかり目立ちはしますが、ナニ。そのうちこのような服も目立たない時代がきますよ。きみも、海の向こうへ行ける日だってきます」
津江村 馨 多分いまの時代だって目立ちますねぇ。これは
妹尾 十三 「――呉は、彼はもういません。船乗りでしてね。また違う街へと去っていきました。だけどそれがどうしたと言うのでしょう。思い出は胸の内に残っていますから」
津江村 馨 「…え?………」
津江村 馨 おらんのんかーーーーーい!!!!!
			妹尾 十三
			「……海へ……」
			「いつか僕を海へ連れて行ってください。センセ」
			「きっとそこで僕は──」
		
語り手 その内に、ふっとあなたの背中に影が落ちました。
津江村 馨 海………
津江村 馨 「………」
語り手 振り返りますか?
津江村 馨 ふり……かえり、ます。
語り手 振り返ると、一体いつの間に背後へ、それも吐息が触れんばかりの距離にまで忍び寄られていたのだろう――艶めくカイゼル髭の長身痩躯が、視界いっぱいに飛び込みました。
真崎 敬之 「お話の最中に申し訳ありませんが、そろそろ病院を閉めなくてはなりません。学会の準備がありますのでね」
津江村 馨 きみたち音もたてずに背後から忍び寄るの好きね?
津江村 馨 「……あ、……」
語り手 真崎がにこりともせずにカイゼル髭をつまんで、探索者を冷たく見下ろしています。
津江村 馨 「…すみません。長いこと話してしまって。十三くんも、ずいぶん疲れてしまったでしょう」
妹尾 十三 「・・・・・・」
津江村 馨 「…………また、来ますね」
語り手 十三は力なくベッドに座り込み、病室を後にする津江村先生に骨の浮いた手を弱々しく振りました。あなたの姿が見えなくなるまで。
妹尾 十三 「ああ……センセ。……左様なら」
			語り手
			 
			 
		
			津江村 馨
			薬のことも骨のことも聞けなかった…くっ……
			次がある!!!!ヨシ!!!!
			ついつい大豆話に花を咲かせてしまった
		
語り手 脳病院はカーテンを閉じ、すっかり締め切ってしまいます。あなたの影は小さくなり、太陽は真上に…今は昼時なのだと気づきます。津江村先生、ところでお腹は空かれていませんか?
			津江村 馨
			そういえばいつからかくぅくぅとお腹が鳴っていますね……?
			そう、あれはクロークムシューの話を聞いたあたりから…
		
語り手 このあたりに詳しければ、カフヱーがいくつか立ち並ぶ繁華街があることを知っていて良いでしょう。
			津江村 馨
			(…行ってみるか)
			このあたりは往診で通ったので、そこそこそのときの記憶があるかと思われます。
			なので、繁華街へ…行ってみましょう。
		
			語り手
			承知いたしました。
			 
			 
		
津江村 馨 ミンミンミン!!!!人の声!!!!
			語り手
			底濱市中心部の繁華街、少し奥まった路地にその店はありました。ごく普通のカッフェ然とした造りの店構えですが、表には【会員制】と書かれた看板が立っています。あなたはそれが十三が言っていた「倶楽部213」であると悟るでしょう。
			〈アイデア〉〈知識〉のいずれかをどうぞ。
		
			津江村 馨
			CCB<=85 【知識】 (1D100<=85) > 70 > 成功
			よしよし
		
語り手 少しにぎやかなところになりましたね。
			語り手
			ここが紹介人のない客は決して入店のあたわない秘密倶楽部――などではなく、どうやら同性愛者の社交場となっているようだと分かるでしょう。
			入りますか?
		
津江村 馨 「………おや、なるほど」
			津江村 馨
			choice[アリ,なしよりのあり] (choice[アリ,なしよりのあり]) > アリ
			へえ
			へえん…
		
語り手 ……。
津江村 馨 私のこの装い…異性装では、入れるかどうか怪しそうでありますかね?
品 狂人日記探索者、みんなここに入ったのかと思うと……。
津江村 馨 興奮してきました
			語り手
			窓越しに覗き見れば、女性は女性と、男性は男性と仲睦まじそうにしています。どうやら、性は問われないようです。どちらのふりをして入るかはあなたの自由ですが、そうですね…。
			着替える時間はあるでしょう。幸いにも、洋服屋が近くにあります。
		
			津江村 馨
			そうですね………
			choice[男,女装男子] どの気持ちで入りましょうか? (choice[男,女装男子]) > 男
			では、紳士服でも買いましょう。
		
語り手 承知いたしました。あなたは洋服屋に入ると、…希望のものはございますか? モーニングコートなどご用意できますが。
			津江村 馨
			それなりのお店に入りますからねえ…一式そろえていただきましょう。
			なに、医者業は案外コレがあるのですよ。👌
		
			語り手
			もちろん、難しい話ではないでしょう。一式買いそろえると、着替えることできます。
			何処から見ても立派な紳士然とした姿に変われば、周囲からの女性から落ち着かぬ視線を注がれるやもしれません。
		
津江村 馨 つ、ついでに店の方に濡れ手ぬぐいなど借りれますでしょうか…その、汗も多少あるので
店員 「どうぞ、こちらを。本日もお暑いので、サァビスでございます」
			津江村 馨
			「ああ、とても助かります」
			とてもありがたい。APP16の紳士ができましたね。
		
			津江村 馨
			しかしこんなところに通っていたとは
			ははぁん
		
語り手 それでは、倶楽部213へ向かいますか?
津江村 馨 ええ、行きましょう。
			語り手
			 
			 
			《倶楽部213》
		
津江村 馨 クラブ にいさん
			語り手
			舶来品の蓄音機からニューオーリンズ・スタイルのジャズ音楽が控えめに掛かり、楽しそうに談笑する人間たちがいます。
			男女の同席は見られず、男は男と、女は女と親密そうに頬を寄せ合いグラスを合わせているのが見えました。
		
津江村 馨 ああっ!!!(蘇る白黒の優美な記憶)
語り手 風紀が乱れているといった様子は少しもなく、皆この場を上品に楽しんでいるようです。
給仕 「初めて見る顔だ。ご注文は?」
語り手 メニューを見るならば、コーヒーやウヰルキンソン、カレーなどの軽食、クロークムシュー…そしてアルコールがあるでしょう。
津江村 馨 「そうだね…クロークムシュー、それとコーヒーを頼もうかな」
			給仕
			「クロークムシューか。これは客の船乗りが、外国から持ち込んできた新しい食べ物だ。そいつは新しいもの好きなんだな」
			「コーヒーは今から豆を挽く。遠い大陸から取り寄せたものだ。阿弗利加だったか…しばらく待ちな」
		
			津江村 馨
			「ああ。知り合いに、この店で出しているということを聞いてね。楽しみにしているよ」
			なるほどこんなところもあったのか、と見ていましょう。
			なに、雑談の私はアリと言っていましたからね。
		
給仕 「知り合いか…紹介にあずかって光栄だ」
			語り手
			それだけ言うと、給仕は厨房へと引っ込むでしょう。
			注文を待っている間、客や店員に呉という男や十三について尋ねて回ることができます。
		
			津江村 馨
			お、では愛想を振りまきに行くとしましょう。
			まずは呉の情報が欲しいな。
		
語り手 承知いたしました。それでは、店員か客のいずれかを指定し、APP×5をどうぞ。
			津江村 馨
			店員の方が…いや、客も案外こういうところなら顔見知りが多いかもしれない。
			まずは客へ。
			CCB<=16*5 【僕の顔をご覧】 (1D100<=80) > 68 > 成功
			よしよし
		
語り手 あなたがひとりでいることに気づいた客の一人が、隣に座ってきます。
男性客 「ここは初めてですかな? お連れの方は」
津江村 馨 「生憎、今日は連れはいなくってね。相手をしてくれるのかい?」
津江村 馨 た の し い
			男性客
			「いいとも、一期一会という言葉もある」
			「誰か、気にかかる人でもいるのかね? それともいない?」
		
語り手 本日はこの男の話が終わったら、区切りといたしましょう。
津江村 馨 「僕はね、ちょっと探しているひとがいるんだ。このお店に”呉”って人はこなかったかな」
津江村 馨 承知しました。
			男性客
			「呉、呉――ああ、あの男前か。暫く前はよく見たな。最近めっきり見ないが、違う街に流れていったんじゃないか」
			「酔いつぶれていたところを線の細い優男に抱えられて出ていったのを見たのが最後だ」
			「優男の顔はよく覚えていないが、右手に包帯をグルグルと巻いていたのが印象的だったな……」
		
津江村 馨 「へえ、右手に。それはいつの頃だったか覚えている?」
			男性客
			「数か月かそこらか…」
			「まだ肌寒かった時期かもしれんな」
		
津江村 馨 「……なるほどね。それじゃあ、店のひとも何か知っているだろうか」
男性客 「そうかもしれないね…聞いてみるかい?」
津江村 馨 「そうだね。聞いてみようかな。ありがとうね、相手してくれて」
語り手 ──三日目 終。
語り手 本日はここまでといたしましょう。お疲れ様でございました。
			津江村 馨
			お疲れ様。
			いやあ、僕の趣味嗜好や生活がだんだん見えてきたね…
			語り手さんもこの店に来たってことなんだな
			へえん?
		
語り手 そういうことになりますね。
			津江村 馨
			おもしろいね
			おこんばんわ、語り手さん
		
			語り手
			こんばんは。
			それでは参りましょうか。
		
語り手 客の一人に話を聞いたところでしたね。
津江村 馨 よろこんで。
			語り手
			あなたが店員を探して視線をさまよわせると、コーヒーの香りが漂ってきます。
			カウンターを見やれば、先程の給仕がコーヒーとクロークムシューを置くのが見えるでしょう。
		
給仕 「要るならミルクもあるが」
津江村 馨 「ミルクはいらないよ。ありがとうね」
津江村 馨 恰好を変えてみたのさ
給仕 「そうかい。それじゃあ、ごゆっくり」
津江村 馨 「ああ、きみ。少しいいかい?」
語り手 そちらも素敵なお召し物ですね。
給仕 「うん?」
津江村 馨 「人探しをしているんだ。話を聞けるかな」
給仕 「人探し……さて、どんな奴だ?」
津江村 馨 「”呉”って名前のやつと、そうだな……そいつと仲のよかった線の細い子はいなかったかな。その二人の話を聞きたくてね」
			給仕
			「クレ? さあ、覚えがないな……粗相をする輩のことは覚えているんだが」
			「線の細い子ってのは?」
		
津江村 馨 十三くんの容姿を伝えてみよう。
給仕 「ああ……もしかしてあんた、ジュウゾウの知り合いか?」
語り手 この給仕は十三に覚えがあるようです。
津江村 馨 「おや、お知り合いのようだね。そうそう、その子だ」
給仕 「細面のキレイな顔した少年だろう? まだ黒マントが似合いそうな、あどけないお坊ちゃんだ。飲めもしない酒を飲まされて、あのカウンター端でひっくり返っていたのを見てたぞ。ありゃあ、可愛そうだったな」
語り手 給仕の示すカウンター端を見やれば、青年が一人座って酒を飲んでいるようでした。給仕はその男の姿を見ると顔を顰め、思い出したようにグラスを拭きます。
給仕 「言うほどでは無いんだが、たまにおいたの過ぎる奴がいてな。遊びには気をつけな」
			津江村 馨
			心理学を。
			実質そのカウンター端にいるやつのこと言ってるんじゃないのぉ?
		
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 25 > 成功
			あなたの思った通り、給仕はそのカウンター端の男のことを言っているようです。あまり良い感情は見受けられないでしょう。
			そう話しているうちに、カウンター横から大きな氷を透き通った液体に浸したグラスが滑り込みました。
		
津江村 馨 「……ありがとうね。おや?」
			津江村 馨
			くあ~~~~~~~~~~~~
			憧れのやつですね?
		
津江村 馨 そいつはどこから?
語り手 あなたが出所を視線で追えば、カウンター端の青年がウィンクを返すのが見えました。
青年 「お兄さん、ここは初めて? 奢るよ」
			津江村 馨
			「っふふ、太っ腹だね。…ツマミといっちゃあ難だが。これを食べながらでも?僕ね、お酒だけじゃあ飲めなくてサ」
			クロークムシューを持っていこう。コーヒーは一旦置いといて。
		
青年 「じゃあ僕も何か頼もうかな、給仕さん」
語り手 そう言いながら、青年はあなたの隣の席に座り注文をします。
青年 「……お兄さん、初めてじゃ相手がいなくて寂しいでしょう? 付き合いますよ」
津江村 馨 うふふ
語り手 青年は人好きのする笑顔を浮かべて、黄金色に透き通るグラスをくゆらせます。
			津江村 馨
			「あっは、なァにせ独りで来ちゃったもんだからね。嬉しいなあ」
			グラスを両手でかわいく持って、ついでにしなでも作ってみちゃおうかな
		
津江村 馨 まあさっきもナンパされちゃったんだけどさ
語り手 人気でございますね。
青年 「さっきから人探ししていたようだけど、待ち人でもいたのかい? フられちまって傷心なら、慰めようか?」
語り手 青年は悪戯っぽくわざと揶揄うように口端を歪めます。
			津江村 馨
			「うん。なんだかずいぶん前にもういなくなっちゃったみたいでね……。…なんだい?なぐさめるって」
			つ、と青年の手を指先でなぞる。思わせぶりだろう?本当に思わせるだけなんだけどね。
		
青年 「へえ。そういえばさっき懐かしい名前を聞いたような気がするね。ジュウゾウだったかな? 確かに最近は見かけないようになってしまった」
語り手 あなたの蠱惑的な仕草に青年はにこりと微笑み、その指に手を重ねようとします。
			津江村 馨
			「あなた、僕の前にも彼のこと潰したでしょう?聞いたよ」
			重ねようとした手にぺしっとおしおきを。
		
			津江村 馨
			choice[ザル,強い,ふつう,弱い,ばたんきゅー] おさけ (choice[ザル,強い,ふつう,弱い,ばたんきゅー]) > 弱い
			おや……飲まないように注意しなきゃ
		
青年 「おや、悪事千里を行くとはこのこと。お耳が早い。いやはや、ちょっとしたお遊びだったんですよ……お兄さん、ジュウゾウくんとお親しい仲?」
			津江村 馨
			「ちょっとばかりはね。それで?潰しちまってどうするつもりだったんだい?……こんな強い酒をやって、僕のこともそうするつもりだった?」
			「彼に何をしたの?お兄さんにだけ、教えてごらんよ」
			耳元に寄り、囁くように…
		
			語り手
			青年はあなたの言葉に目を細め、にぃと微笑みを作りながら人差し指を唇に押しつけて「しー」と囁きます。
			<APP×5>か<信用>で詳しい話を聞きだすことができます。
			奢られた酒を飲む場合、CON×3に成功すれば酔いつぶれずに<信用>に+50できるでしょう。
			CON×3に失敗してしまった場合は、APP判定が自動成功したものとみなします。
			どちらを選ぶかはお任せしますよ。
		
津江村 馨 APPでイチコロにしてみせましょう。
語り手 どうぞ。
			津江村 馨
			「ね、そんなこと言わずにさ」
			CCB<=16*5 【この顔面に勝てると思ってるのかい?】 (1D100<=80) > 82 > 失敗
			ええ~~~~~~~~!?!?!?!?!?
			フラグ、回収しちゃったネ…
			信用やってみるか
		
津江村 馨 これだから自主的にフラグを立てるのがやめられないんだ
語り手 彼は目を細めてあなたの顔の造形を静かに眺めています。信用をどうぞ。
			津江村 馨
			CCB<=65 【信用は微妙な数値なのよね、でもだからこそ成功したら嬉しいよね?ね?】 (1D100<=65) > 66 > 失敗
			ええ~~~~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?!?
		
語り手 ああ、惜しいですね。
			津江村 馨
			あっはっはっはっは
			酒に手を出してぇ……みますか
		
			語り手
			彼の視線はグラスへと注がれます。
			グラスを持って鼻先を近づければ、強烈なアルコールの匂いがします。日本酒とは違う、西洋の蒸留酒なのでしょう。
		
津江村 馨 「………したたかだね。こいつが条件ってかい?」
青年 「話の分かる綺麗な人は、いっとう好きだね」
語り手 青年はにこやかに返します。
			津江村 馨
			「はぁ………いじわるなひと」
			一口ぺろ、と舐めて……くっくっく……と飲みましょう。
			ああ、私弱いのに……。
		
津江村 馨 喉が焼ける~~~~~!!!!
語り手 その度数も知れぬアルコールの注がれたグラスを手に取り、青年がじぃと見つめる横で一気に呷ると…喉が灼けつくような感覚に襲われます。CON×3をどうぞ。
			津江村 馨
			CCB<=16*3 【酔いつぶれチェック】 (1D100<=48) > 60 > 失敗
			いやあ~~~ これは あっはっはっは
			「っはぁ………うぇ、え………」
			「きっつ………」
		
語り手 十三はこんなものを飲まされていたのだろうか…そんなことを考えられたのも束の間でした。アルコールは容赦なくあなたの頭を打ち、身体がかっかと温まるのを感じます。
			津江村 馨
			「はっ………はっ………ぁう……」
			「はき、………は、くまえに……吐け、よ……このやろ……」
		
青年 「お兄さん、そんなキレイな顔で凄んでも愛くるしいだけですよ? キレイな子の周りにはキレイな人が集まるんですねえ。僕のお酒を飲んでくださって、嬉しいです」
語り手 青年は動けないあなたのこめかみあたりの髪をすくい、どさくさにまぎれて耳の形を確かめるよう撫でまわします。不快だと思っても、その手を振り払うことはできないでしょう。
津江村 馨 「うぇ………ひ、う…………この、ちょ、し………」
青年 「ああ、それであの子の話だったか――あなたも人が悪いですよね、別の子の話をさせるなんて。彼なら、底濱埠頭の辺りをふらふらしてたって聞いたことがあるよ。妙な風体の灯台守と、何か怪しげなやり取りをしていたって言ってた子もいるね」
津江村 馨 「ふーー……ふぅーーー…………」
語り手 青年はあなたの飲み干したグラスを指先でなぞり上げます。酔いに気分が参ってきたあなたの都合などお構いなしに、逃がさないよう肩をつかんできます。やがて赤く染まり始めたあなたの耳元に唇を寄せて、こう挑発的に囁くのです。
			青年
			「あすこは貧民窟が傍にあってね、いつも犬を煮ているような臭いがするんだ。残飯屋が毎晩通りがかっては黒山が出来る、忌々しい区画だよ」
			「あの子があすこに何の用があったか知らないが、おおかた──」
			「浮浪者どもに“おかま”を掘られに行っていたのじゃないかね」
		
津江村 馨 えttttttttttttttttttt
津江村 馨 「…………」
語り手 青年はにたりと口角の上がった声でそう吐くと、あなたの紅潮した横顔を興味深そうに眺めます。
津江村 馨 「……それで、僕が顔を…あおざめる、とでも……?」
津江村 馨 えっちっちっちっちっちっちち
青年 「まさか。僕はジュウゾウくんはもしかしたら埠頭に行ったのかも知れないと、世間話をしただけですよ」
			津江村 馨
			「は………それなら、どうも」
			口は強いけれどぐでんぐでんですね…
		
青年 「ああ、大丈夫ですか? 立てますか? 送りましょうか。ここの2階に休めるところがあるんですよ」
津江村 馨 「っ……。いら、ない……。放っておいて…」
津江村 馨 こんな無理矢理なのナシナシのナシだよお!!!
語り手 給仕が何も言わずに、そうっと氷の入ったお冷をあなたの前に置きます。
津江村 馨 中の私はアリアリのアリだがシナリオが良心
津江村 馨 「…あ………」
給仕 「ゆっくり飲んで休んでいきな。……今日のところはこのへんでやめておけ、若旦那」
津江村 馨 きゅ、給゛仕゛さ゛ん゛…゛…゛
語り手 給仕は青年を睨みつけますが、どこ吹く風といった風に青年はあなたを介抱するように見せかけて後頭部から背中を撫でつけるのでした。
青年 「からかいすぎたね、おにいさん」
津江村 馨 「……そのうち、噛まれますよ」
青年 「噛みつきに来てくれるんですか、嬉しいなぁ。調教し甲斐がある」
津江村 馨 えっち
津江村 馨 しっし、と手で払う
語り手 あなたが手を払おうと、青年はその席から動かずにこにこと薄い笑みを張り付けてあなたを見つめていることでしょう。
			津江村 馨
			…こちらから移動しましょう。
			物陰の席に。
		
語り手 さて、給仕から差し入れされた水を飲んでしばらく休めば、動けるようにはなるでしょう。まだ昼下がりです。
			津江村 馨
			給仕のひとには少し多めに包んだものをそっと…
			助かりました
		
給仕 (いや、あれぐらいなんてことはない……)
語り手 行きたいところがあるならば、一箇所であれば日の出ているうちに向かうことができるでしょう。
			津江村 馨
			底濱埠頭の辺りへ…。
			夜に行くと本当に危なそうだ、せめて日のあるうちに。
		
			語り手
			承知いたしました。あなたは勘定を置いて店を出て、埠頭へ向かうでしょう。
			 
			 
			《底濱埠頭》
			風が強い。塩辛いほどに湿った海風が、容赦なく唇を押し広げます。遠く空はかき曇り、気の滅入るような色をしていました。
		
津江村 馨 いい音だ…
			語り手
			埠頭をまっすぐ灯台の方へ向かって歩いていると、正面からやって来る、ボロ布を顔中に巻きつけた男と出会うことでしょう。
			ボロ布の隙間から覗えるその顔は、どこか犬めいた印象を受けます。その男は上唇に鋭い裂け目があり、病気にしてもあまりに見慣れぬ顔つきでありました。
		
津江村 馨 えっぢ
			語り手
			暗い橙色に濁った手肌は、日に焼けたゴムのように固く締まり、ひどく粉を吹いているのです。
			1/1d4の正気度喪失。
		
津江村 馨 CCB<=85 【SAN値チェック】 (1D100<=85) > 42 > 成功
system [ 津江村 馨 ] SAN : 85 → 84
灯台守 「見ない顔だね。この辺に面白いものはないよ。もっと明るい街の方へ行ったらどうかね。これは親切で言っているんだが」
			津江村 馨
			「…あなたは、妹尾十三くんのことを知っているかい?」
			「僕は彼の知り合いで……怪しくはないんだ。話を聞かせてほしい」
		
灯台守 「十三? その十三って奴と、己と、あんたに――全体なんの関わりがあるって言うんだい」
語り手 そう言って彼は、数歩後退りました。
			津江村 馨
			心理学を。
			まあ、怪しまれてるよなあ…というのをなんとなく知りたい。
		
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 72 > 成功
			この男はあなたを訝しんでいる様子ですが、同時に値踏みしているようにも見えるでしょう。十三については何か知っているようであると感じます。
		
灯台守 「知り合いだっていうなら……あんた、その十三って奴になんて呼ばれている?」
津江村 馨 「……僕は、彼の病気の治療をしていたんだ。彼には、センセって呼ばれてる」
語り手 あなたがそう言うと、ふっと男の警戒が解かれたことに気が付くでしょう。
津江村 馨 うあああn
			灯台守
			「ああ、あんたがボウヤのセンセかい」
			「悪かったね。悪趣味な雑誌記者かと思ったんだ。近頃はそういうの、多いだろう」
			「ボウヤはな、哀れなヤツなんだ。ある時ふらふらと港を歩いていて、己の目の前で海に落っこちたんだ」
		
津江村 馨 「……海…」
			灯台守
			「慌てて引き上げて、小屋で休ませてやったら、ここが太平洋の彼方にある、化物の暮らす島だと思い込んでしまった。自分の家の場所も言えない有様だったから、長屋の連中と細々面倒を見てやったよ」
			「今は脳病院にいるんだろう。時々その近くまで行って、手を振ってやることがある」
		
津江村 馨 (ああ、もしかして……これが半月の間の……?)
語り手 男は自分の懐をまさぐりながらあなたに近づきます。
津江村 馨 なんだろう……。警戒はしません。
灯台守 「センセが来たら渡してくれと言われた封筒があるよ」
語り手 奇怪な風体の男は、懐から薄汚れた封筒を取り出しました。受け取りますか?
津江村 馨 受け取ります。
語り手 受け取ってみると、夏の盛りだと言うのにその封筒は少しも温まっていません。
津江村 馨 「…あなたの、名前は?」
灯台守 「そんなもの聞いて、どうするんだい。己には字もわからねえってのに」
語り手 封筒を開けると中身は破り取られた日記のページでした。読みますか?
			津江村 馨
			「………」
			読みましょう
		
灯台守 「ボウヤには一体なにが見えていて、なにが見えていないんだろうな」
語り手 日記を読み始めるあなたをみて、男はそうつぶやきました。
			妹尾 十三
			『当然ご存知でありましょうが、私はアニキによって座敷牢に四年ほど監禁をされておりました。ですがある日、センセによる往診が終わるや否や、私は頭に麻袋を被せられて、そのまま底濱埠頭へ連れて行かれ、そこで阿呆船に乗せられたのです。阿呆船は様々な気狂い共でひしめき合っており、私は気も狂わんばかりでした。頭に鶏のトサカなぞつけた水夫に行き先を聞くと、私たちは海乙那の棲む島へ連れて行かれ、そこで毒牙の露と化すそうです。海乙那です。それはどこか狼に似た顔を持つ、食人鬼だそうです。』
			『私は、その島で二年を過ごしました。大半の気狂い共は世をはかなんで、進んで海乙那に食われましたが、なに、話してみれば存外気のいい連中で、私たち人間よりもよほど先進的な考えをする連中でありました。何も人間を選り好んで食うわけではなく、死ねば肉なのだから感傷的になって燃やしてしまうより、新鮮な内に食ってしまえば無駄がなくていいではないかというのがその理屈です。』
			『その島で雌の海乙那と夫婦にならないかと誘われましたが、郷里のアニキが気になったので、後ろ髪を引かれながら私は日本へ戻ってきました。なにしろ気のいい連中でしたので、今でも時々、夜中に私の部屋を訪ねてくれます。ええ、この部屋にです。そうです――私は海乙那共に日本の歩き方をすっかり教えてしまったので、そうした塩梅で彼らがやって来れるようになったのです。しかしそれは問題ではございません。』
			『古くからこの国には忌まわしい人食いがいて、品川の辺りや底濱の外れは彼らの縄張りだったのでありました。それを私が海乙那に渡りをつけてしまったので、忌まわしい人食いの連中が怒ったのです。アニキや、下男の真崎に成り代わった連中は、私を座敷牢に閉じ込めたりして、自由を奪いました。こうして真実を話せる相手はセンセだけなのですよ。アレゴリなどでは、ありません。人を食わずにいる子供は、あるいはあるかもしれない。救えよ救え。子供――。』
			『私が死んだ後は、どうぞ、その遺骸を食べてください。私の身体には種がありませんでしたので、子も遺せず、食べてすらもらえないのであれば、到底生きてきた甲斐がないではありませんか。どうぞ、弔いと思って、私の遺骸を食べてください。それだけが私の本当です。それですっかり、悔いはありません。』
		
注記 〔注:アレゴリ=寓意。象徴的な存在を用いる、例え話のような表現技法のこと〕
語り手 この日記に対していくつかの知識技能を振れますが、まずは30分まで休憩を挟みましょう。
			津江村 馨
			はい………
			えええん 視点が違えばまた話が違う
			えええん ええん…
			「海乙那」がわからなくてggったら「狂人日記」自体は実在する小説なんだと知りまたひとつナニカが増えました
		
			語り手
			語り手である私は、あなたの話の行く末を見守らせていただきますよ。
			魯迅の狂人日記でございますね。
		
			津江村 馨
			…まだこれを読んだきりではなんとも。…と言っている場合でもありません…
			彼の望みは「死んだ後に自分の肉を食べてほしい」…
			ううん…
		
			妹尾 十三
			《十三の手紙》
			私にはもはや、人の生活といふものに皆目見當がつかなくなつてしまつたのです。センセに助けてもらはなければ、私の正氣はあと一日だつて保たないでせう。どうか後生ですから、私の住まひを訪ねてきては呉れませんか。
			柳川縣底濱市西區淵ヶ谷三丁目四番十六號 妹尾十三
			
			
			
			《十三の日記、一》
			アニキには言へない。センセに話さなくちや。
			
			
			
			《十三の日記、二》
			私の日記の大事な部分は、安全な場所に隱してしまひました。何故こんなことをするのかとお思ひでせうが、此れをしなくてはならないのです。今となつては、眞實をひとつところに置いておくほど、危險なことなどないのです。
			
			
			
			《十三の日記、三》
			當然ご存知でありませうが、私はアニキによつて座敷牢に四年ほど監禁をされてをりました。ですが或る日、センセによる往診が終はるや否や、私は頭に麻袋を被せられて、そのまゝ底濱埠頭へ連れて行かれ、そこで阿呆船に乘せられたのです。阿呆船は樣々な氣狂ひ共でひしめき合つてをり、私は氣も狂はんばかりでした。頭に鷄のトサカなぞつけた水夫に行き先を訊くと、私たちは海乙那の棲む島へ連れて行かれ、そこで毒牙の露と化すさうです。海乙那です。それはどこか狼に似た顏を持つ、食人鬼ださうです。
			
			私は、その島で二年を過ごしました。大半の氣狂ひ共は世をはかなんで、進んで海乙那に食はれましたが、なに、話してみれば存外氣のいゝ連中で、私たち人閒よりもよほど先進的な考へをする連中でありました。何も人閒を選り好んで食ふわけではなく、死ねば肉なのだから感傷的になつて燃やしてしまふより、新鮮な內に食つてしまへば無駄がなくていゝではないかといふのがその理窟です。
			
			その島で雌の海乙那と夫婦にならないかと誘はれましたが、鄕里のアニキが氣になつたので、後ろ髮を引かれながら私は日本へ戾つてきました。なにしろ氣のいゝ連中でしたので、今でも時々、夜中に私の部屋を訪ねて呉れます。えゝ、この部屋にです。さうです――私は海乙那共に日本の步き方をすつかり敎へてしまつたので、さうした鹽梅で彼らがやつて來れるやうになつたのです。しかしそれは問題ではございません。
			
			旧くからこの國には忌まはしい人食ひがゐて、品川の邊りや底濱の外れは彼らの繩張りだつたのでありました。それを私が海乙那に渡りをつけてしまつたので、忌まはしい人食ひの連中が怒つたのです。アニキや、下男の眞崎に成り代はつた連中は、私を座敷牢に閉ぢ込めたりして、自由を奪ひました。かうして眞實を話せる相手はセンセだけなのですよ。アレゴリなどでは、ありません。人を食はずにゐる子供は、或いはあるかもしれない。救へよ救へ。子供――。
			
			私が死んだ後は、どうぞ、その遺骸を食べてください。私の身體には種がありませんでしたので、子も遺せず、食べてすらもらへないのであれば、到底生きてきた甲斐がないではありませんか。どうぞ、弔ひと思つて、私の遺骸を食べてください。それだけが私の本當です。それですつかり、悔いはありません。
		
語り手 それでは、もう少し詳しく見て参りましょう。
			津江村 馨
			はい…。
			さしあたり、彼の書いたものは読み終えました。理解できたかはともかく。
		
語り手 これらの日記について、「①〈歴史〉〈知識:1/2〉」と「②〈知識:1/5〉〈文学系の技能:1/2〉〈オカルト1/2〉〈中国語と知識の組み合わせロール〉」で情報があります。
津江村 馨 振れるものからやってみましょう。
語り手 どうぞ。
			津江村 馨
			CCB<=20 ①歴史しょきち (1D100<=20) > 17 > 成功
			えっ
			CCB<=85/5 ②【知識/5】 (1D100<=17) > 72 > 失敗
			CCB<=5/2 ②オカルト/2 (1D100<=2) > 71 > 失敗
			CBRB(85,1) ②知識・中国語組み合わせ (1d100<=85,1) > 19[成功,失敗] > 部分的成功
		
語り手 お見事。流石は津江村先生ですね。あなたは【阿呆船】について次のことを知っていました。
津江村 馨 さすわた
語り手 阿呆船は15世紀のドイツ人作家、ゼバスティアン・ブラントの作である、諷刺文学であると分かります。様々な偏執狂、阿呆、白痴の人間達が一隻の船に乗り合わせ、阿呆国ナラゴニアを目指して船出する内容でした。
灯台守 「己には字が読めねえ。そいつは好きにしな」
津江村 馨 「………ここにいてください。私一人で読むには、……」
灯台守 「……わかったよ。こっちで読みな、風が当たらねえ」
津江村 馨 「……すみません。ありがとうございます」
語り手 あなたを埠頭の瓦礫の影に手招くと、隙間風を塞ぐようにどっかりと男は据わりました。
津江村 馨 うううっ 優しいよう…
津江村 馨 「…あなたがそうして優しいから、彼も懐いたのですかね」
灯台守 「ハ。どうだかな。おまえさんもあのぼっちゃんも、気を許し過ぎているぜ。己が物盗りだったらどうするんだい。こう、掠め取ってな」
			津江村 馨
			「…それでしたら、こんなに後生大事に持っていてくれやしませんよ」
			封筒をひらひらとします。
		
			灯台守
			「…………」
			「おまえさん、本当のところはもう読み終えているんだろう」
		
津江村 馨 「………」
			灯台守
			「中身は聞かんが…どうせなら、大事にとっておいちゃくれねえか」
			「あいつがな、己にその封筒を寄こしてきたときの顔がな…あんまりにも必死なもんだったから」
			「『どうか、かならず。センセに』ってな」
		
			津江村 馨
			「……これは、彼の書いた日記です。私は、それを探して読んでくれと十三くんから頼まれていたのです」
			「……僕に読んでほしいというのは………どうして………」
			「………どうして」
		
灯台守 「……」
			津江村 馨
			 
			「だって、僕はただの……通いの医者ですよ。ほんの数年きりの、………彼のことを、檻から出すこともしなかった」
			「いえ、むしろ…………」
			「…………」
			「……彼のことを気狂いだと診断し、話を聞いている間も………マトモになんて一切扱わず。………彼のね、あの純な瞳は私にとっては苦しいものなんですよ」
			「………だというのに、何故ああに慕って………。こんな私に、自分が死んだら食ってほしいなどと……」
		
語り手 ぽつりぽつりと風に攫われていく言葉を灯台守は静かに聞いていました。
			津江村 馨
			「………この書き方だと、彼がもう、今すぐにでも死んでしまうのではないかとも思ってしまうのです。私がこれを読んで、いったいどういうことだいと脳病院へ顔を出したら………」
			「………真っ白になった、それこそ人形のような彼が、いるんじゃなかろうかと」
		
語り手 あなたは脳病院の方角を見やるかもしれませんが、あなたの背後には、海の彼方には黒く重い雲が迫っていました。
			津江村 馨
			「………」
			「………行かねば、なりませんか。どうしても。……呼ばれているのは………」
			「…………灯台守の。…共に行ってはくれませんか。どうにもまずい予感が、すこしばかりしていてならないのです」
			「…いえ、これは予感です。ただの……けれども」
		
灯台守 「くん…雨の匂いだ。行くったってどこに行くんだ、あんた。そろそろ帰らないとまずいぞ。嵐にでもなったら、風邪を引いちまう」
津江村 馨 「……だって、これを持っておめおめ帰れというのですか?」
			語り手
			脳病院へ向かいたいという強い意志があるのでしたら、引き留めはしません。しかし、いくつかダイスロールを振っていただきます。
			まず灯台守を連れて行く場合は、交渉技能をどうぞ。
		
			津江村 馨
			ううっ 今日の私のダイス運を見て言ってらっしゃる…!?
			やってみせましょう
			CCB<=65 【信用】 (1D100<=65) > 38 > 成功
			ェア!??!?!?!?
			ほんとですか!?
		
語り手 あなたの必死さに灯台守は折れ、首を縦に頷きます。
津江村 馨 うるうる……
灯台守 「わかった。見に行くだけだ」
津江村 馨 「ああ、ありがとう。ありがとうございます」
灯台守 「嵐が酷くなったら、帰らせてもらうからな」
津江村 馨 「ええ。それで構いません」
語り手 かすかに漂う獣じみた臭気を、塩辛い風が洗っていきます。灯台守が海に背を向けるさらにその遠くで立ち込める雨雲を、チカリチカリと灯台が照らしていました。これから嵐がくるのでしょうか。潮の香りに混ざって雨の匂いが強くなります。
語り手 本日はお時間15分ほど延長させていただいても?
			津江村 馨
			灯台守さァん!!!うう…
			だいじょうぶです!!!!
		
			語り手
			 
			 
			≪池田脳病院≫
			やはりと言うべきか、雨が降り始めました。
			厚い雲が空に広がり、視界は良好とは言えません。
		
津江村 馨 「…もう雨が」
語り手 脳病院は既に締め切られており、カーテンのわずかな隙間から部屋を覗き見ることは辛うじてできるかもしれません。<目星>をどうぞ。
			津江村 馨
			目は効かないのですよぅ……
			CCB<=25 目星 (1D100<=25) > 92 > 失敗
			ひいん!!
			灯台守さぁん……
			灯台守さぁん(媚)
		
			灯台守
			己だって目はきかんよ。
			CCB<=25 目星 (1D100<=25) > 62 > 失敗
		
津江村 馨 ふたりしてフシアナですね
			語り手
			病室を覗き見ようとしますが、中の様子は伺い知れません。
			<聞き耳>をどうぞ。
		
			津江村 馨
			CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 62 > 成功
			耳はちょっといいのよ
		
			語り手
			雨の音に混じって、きいきいと何かがきしむ音が窓越しから聞こえます。
			それだけです。
		
			津江村 馨
			ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!??!?!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????????????
			はい
			「………なにか、きぃきぃ鳴る音が」
		
			灯台守
			CCB<=25 聞き耳 (1D100<=25) > 94 > 失敗
			「…己にはよくわからんが」
		
津江村 馨 どれもよわいの可愛い
			津江村 馨
			病院に入れますか…?
			昼には閉まっていた気がして……
		
			語り手
			病院はしっかりと鍵が閉められておりますが、そうですね…。
			幸運/5をどうぞ。
		
			津江村 馨
			えっそんな
			CCB<=85/5 【幸運/5】 (1D100<=17) > 42 > 失敗
			そこそこ惜しい!!!
			ちら………(灯台守のひとを見る)
		
灯台守 ……。
津江村 馨 予備ダイスみたいになってる
			灯台守
			CCB<=7 幸運/5 (1D100<=7) > 81 > 失敗
			無理だろう。
		
			津江村 馨
			7かあ………………
			よちち…
		
語り手 もしかしたら運よく立て付けの悪いドアがあったかもしれませんが、探しているうちに雨足は強くなっていくでしょう。
津江村 馨 「………雨が、もう…」
灯台守 「あんた、そろそろ帰らないと風邪ひいちまうぞ」
津江村 馨 「………私だけでもどうにかします。あなたはもう帰ってしまって大丈夫。…病気になってしまう」
灯台守 「正気かあんた」
語り手 それでもなお十三に会おうとなさるのですね。承知いたしました。
			津江村 馨
			何がこの気持ちを突き動かしているのか、もはや私にもわかっていないかもしれません。
			いや、わかっていません。ただ、彼に会わなければと……あのきぃきぃ鳴る音が気にかかってしょうがないのです。
		
			津江村 馨
			メタ的にはなんかこう、中に入れる壊れかけの扉の音かもしれないって思いつつ…
			くっ 首でも吊ってたら…こう……その……ネッ……
			んネッ・・・・・・
		
語り手 灯台守は頑として動こうとしないあなたを前に少々戸惑ったような表情を浮かべ…ふと、裏口に目を留めました。
灯台守 「しようのない奴だな、このことは黙っていろよ」
津江村 馨 「え…?」
津江村 馨 んん??????
			語り手
			そう言いながら灯台守は、裏口の扉に身体を当て。
			およそ人間のそれとは思えぬ力でゆっくりと、しかし確実に扉を圧し破ろうとしました。
		
津江村 馨 「えっ、え……!?」
語り手 がきん、と蝶番の割れる音が聞こえ、扉としての用をなさなくなってしまったただの蓋がそこにあります。
津江村 馨 「……凄い…あ、ありがとうございます…!?」
			灯台守
			「別にこの力であんたの首根っこひっつかんで車の通るところにブン投げてやってもよかったんだぜ」
			「でもあんたまた性懲りもなくここにやって来そうだからな…」
		
津江村 馨 「……よくおわかりで」
灯台守 「悪いが己はここで帰るぜ。扉のことは、まあ…あんたがうまい言い訳をしてくれ。己のことを言ってみろ、承知しないからな」
津江村 馨 このBGMがこう、カミナリまで鳴っているように聞こえて嵐の激しさを感じている
			津江村 馨
			「それはもう。………あなたは今夜ここにいなかった。これをしたのは、私。そういうことです」
			「ああ、そう……そうだ」
			自分の服でドアを擦っておきます。においを自分につけて、においを消して。
			それと、灯台守さんの手を取って…
			ぎゅ、と。感謝の意を込めて握手を。
		
灯台守 「…………」
			津江村 馨
			あらってないわんちゃんのにおい
			すぅー………
		
灯台守 choice[握り返す,そんなことはせん] (choice[握り返す,そんなことはせん]) > そんなことはせん
語り手 あなたの手が離れると、それきり男は肩を縮こまらせて歩き去っていくでしょう。
津江村 馨 見送ります。ここまでしてくれて、本当に感謝の尽きない…。
津江村 馨 ドアあけてくれたところが最大のデレだとおもっている
			語り手
			あなたが見送る背中のさらにその遠くで雨雲が高く立ち込めていました。
			病室へ向かいますか?
		
津江村 馨 向かいます。
語り手 病室の扉は半開きになっておりました。
			津江村 馨
			「……十三くん?」
			扉の外から声をかけます。大部屋だけれど…
		
津江村 馨 もぉ~~~~………
語り手 あなたの声に返事はかえりません。
			津江村 馨
			半開きなんてもう……さあ………
			ねえん………
			ねえもう ねえ ねえ
			ああ~~~~~ん
		
津江村 馨 「…………」
			語り手
			あなたがその隙間から中の様子を伺うと、きいきいと何かが一定間隔に軋む音とにあわせ…
			ぴかり。雷光がカーテンを貫いてその影を浮かばせる。
		
			津江村 馨
			あああ~~~~~~~~~~~~~~
			ううう
		
			語り手
			そこでは、吊り下げられた『何か』が揺れていました。
			 
			 
		
			津江村 馨
			「………」
			薄々、感づいてはいました。
		
語り手 ──視界にそれを認めた直後、あなたの後頭部に重い衝撃が走ります。
津江村 馨 んなあ~~~~~~~~~!!!
語り手 視界がゆっくりと回る。一拍遅れて、あなたは何かで頭を殴られたのだと悟る。
津江村 馨 「………っ……!?」
			津江村 馨
			ああっえ おぇ
			おぇあ…………
			えええ~~~~~~ん!???!?!?
			バッドゥエンド……?
			一緒に吊るされる……?
		
語り手 その記憶の最後は、床に倒れる前に誰かの腕に抱きとめられた感触。
			津江村 馨
			いや これで 満足……
			BADでも満足……
		
津江村 馨 「だ、れ…………」
語り手 雨の匂い、死の香り。誰かに抱き上げられ、廊下を歩いていくのがわかる。衣擦れと素足の音。薄れゆく意識の中で、あなたは何を想うのでしょうか。
津江村 馨 うううっ うう…
語り手 ──これは特殊な処理なのですが。もう一度十三くんに会ってみたいですか?
			津江村 馨
			えっ……?
			この状態から……?
		
			語り手
			ええ。今でしかできません。そうですね…次回までに決めていただければ。
			代償は正気度となります。
		
			津江村 馨
			正気度であれば、即決です。
			なんのための85なのでしょう。この場で使うためです。
			…彼がどうなっているかはもう重々承知なのですが…
		
語り手 ……それでは、シーン冒頭だけお見せして、本日は終いとしましょう。
津江村 馨 これが下世話な好奇心なのか、責任感のようなものなのか
津江村 馨 はい。
			語り手
			……雨樋を伝って水の流れる音に紛れて、波の音が聞こえます。
			それはどんどん近づいてきて、ぎぃぎぃと木板の軋む音も混ざって来るのでした。
		
妹尾 十三 「センセ、センセ。起きてください」
語り手 十三の声が聞こえます。
津江村 馨 「………う、ぇ……?」
			津江村 馨
			あああ……!?
			あれ
			え…?
		
語り手 あなたが目を開けると、そこは海の上でした。
			津江村 馨
			あれえ
			うええ!?
		
語り手 あなたたちはぎぃぎぃと大きく軋む船に二人きりで乗っておりました。行先がどこかは分かりませんが、遠く水平の向こうに小さな島が見えます。
津江村 馨 「………あれ…」
			津江村 馨
			えっ、あ 、あってまってまってまってまt
			ええ~~~~~~~~!?!????!?!?
			わからんでござる
		
語り手 それもただの海ではありません。極彩色の曼荼羅の海、どこが天かも、分からない。自分と他人の境目も混ざり、なにがなんだか分からなくなる。そんなところでした。はてさて、ここは現実なのか夢なのか。
			津江村 馨
			ござ……
			ざ え~~~~~~~~~~!???!?!?
			どうしようね
			おもしろくなっちゃった…^^
		
語り手 あなたは確かに、妹尾十三が首を吊っているところを見たはずだったのですが──
			津江村 馨
			…です、よね……。
			ええ…?
		
妹尾 十三 「センセ?」
津江村 馨 「………きみは、……首…」
妹尾 十三 「? 首…」首を触る
津江村 馨 「い、いや………うん。なんでも……」
妹尾 十三 「センセ、目的地まではしばらくかかるようです。その間にでも、話をしませんか」
			語り手
			十三はそう言って、いつか見せた穏やかな笑みを浮かべるのでした。
			──四日目 終。
		
			津江村 馨
			っええ……ええん……?
			私ずっと悲鳴上げていましたね……なんだこの雑談
		
語り手 次回最終日となりますが、30分程度妹尾十三と話す機会を差し上げます。もしかすると、最終日の夜は長引くかもしれません。
津江村 馨 これは……特殊なルートなのでしょうか
語り手 いいえ。途中寄り道をしているだけです。
津江村 馨 なるほど…では意気込んで寄り道をしましょう。
語り手 ええ。いくら寄り道をしようとも、最終的にあなたはどうしようもない現実に連れ戻されますよ。
津江村 馨 うええん
語り手 それまでは彼とお話しください。もし、話したいことがあるのでしたら。
			津江村 馨
			時間いっぱいギリギリまで他愛もない話でもしましょうか…
			今日は長時間ありがとうございました。
			明日も対戦よろしくおねがいします。
		
語り手 はい。明日もよろしくお願いします。
			津江村 馨
			ごそ…
			ハテナをたくさんつけた私でございます。
		
			語り手
			ハテナでございますか……。いずれにせよ、あなたの望む終着点までご案内差し上げられればと思います。
			それでは、最終夜を参りましょうか。
		
語り手 十三は船から身を乗り出し、極彩色の潮風に髪を揺らします。
妹尾 十三 「……センセ、なんだか浮かばない顔ですね。狐につままれたかのような」
津江村 馨 最終夜、よろしくお願いいたします。
			津江村 馨
			「……実際に、抓まれた気分ですよ。ここはどうしてこんなにも色に溢れているのでしょう」
			「きみは…………ここがどこか分かりますか?」
		
妹尾 十三 「いえ……太平洋でしょうか。それでも船は進んでいるようですが」
津江村 馨 「………私は、きみの日記を読みましたよ。それで、病院まできて……」
妹尾 十三 「日記?」
			津江村 馨
			「……え?」
			「だから、君がしたためていた日記を…」
		
妹尾 十三 「私が日記、ですか……紙に書き留めておくほど、私の人生に価値はあったでしょうか。ああ、でも……書き残すのならば、センセのことがいいですね。そうしたいです」
			津江村 馨
			「っ………。……なんで」
			「きみは、あなたは、…なんで僕なんかをそんなに盲目的に慕うんだ!!……こんな、一介の…技術もなにも…未熟な、僕を………!!」
			思わず肩を掴んで揺さぶってしまうだろうね…
			精神を見る医者がなんてことだ
		
妹尾 十三 「せ、センセ……!?」
語り手 十三は心底驚いたように目をぱちくりとさせ、あなたの取り乱しぶりを見つめています。
			津江村 馨
			「僕は……僕は、君に何ができた!?君の病んだ精神になにが出来たというんだ!?正常なものに戻せたわけでもなく、結局他の病院へ任せた後は顔のひとつも出さず……!!」
			「………こうして、こうして……十も離れた元患者相手に、取り乱す始末だ。医者としても…人間としても手に負えない。気狂いは誰だ?誰が気狂いだというんだ?そもそも正常とは何だ?……きみの見る世界がおかしいと、誰が決めるのだ…」
		
津江村 馨 自分に精神分析かけたいぐらいだ(大の字)
妹尾 十三 「……センセ」
語り手 白魚のような細い指があなたの両頬に伸ばされます。ひんやりとした指先にあなたの体温がうつることでしょう。
妹尾 十三 「でもセンセは僕の手紙に応えて、来てくださったではありませんか」
			津江村 馨
			「………本来であれば、私のようにひとりの患者に入れ込むことなど言語道断なんだよ。そうして患者全員を見ていれば、きりなんかないんだ」
			「……医者として、失格だ。でも、私はきみのことをどうしても切り離すことなんかできなかった。笑ってくれよ、一年も放っておいて」
		
妹尾 十三 「センセ……どれだけ年月が経とうと、僕のセンセはあなただけです」
津江村 馨 精神状態がおかしいセンセ
妹尾 十三 「もしかして、僕がセンセを追い詰めましたか? ……でも、どうしようもないのです。嬉しいと思ってしまった僕は、センセにとって害なすものでしょうか。それでもいい……」
			津江村 馨
			「……いいえ。私が私を勝手に追い詰めているだけ。どこまでも自己満足なのです」
			「私は、ひとを正常へ導くために勉強をしました。そういう”きれいなこと”を目標にし、医者の道を志したというのに………。ここにいる私は、自己満足に塗れてひとりで道を踏み外した愚か者です」
			「………君のその、真っ直ぐな感情が苦しい。君が慕うほどの価値なんか、僕にはないんだよ。それがすべてだ」
		
			津江村 馨
			あ~~~~~あ
			言っちまった
		
妹尾 十三 「…………」
語り手 真っ暗でうるみがかった大きな瞳があなたの横顔を見上げます。十三はその言葉に、何も返しませんでした。
津江村 馨 ぐああぁぁぁゥん(断末魔)
妹尾 十三 「……ねえ、センセ。センセの見たかったものはきっとこの先にあります。この船の向かう先の陸では兄が待っていて、私が埠頭へ降りると駆けつけてきて抱きしめてくれるのです。そうであればきっとセンセも救われたのでしょうね。でも夢はここまでです。そうはならなかったのですよ、センセ。これはそういう話」
			津江村 馨
			「………これは泡沫の夢であり、その先の”ありもしないもの”は決して現実にはならない」
			「何処まで行っても、何も救いがありませんね。………」
			「……ねえ。まだきみに聞けますか?…きみは、ほんの少しきりでも…しあわせを感じられましたか?」
		
語り手 十三はその言葉にあなたを振り返って穏やかに微笑み
妹尾 十三 「はい」
津江村 馨 ぐあああああああ
語り手 と小さくつぶやきました。
津江村 馨 「………なれば、私は現実へ戻りましょう」
			語り手
			曼荼羅の太陽の光が強まり、視界が白んでいく。
			十三の影が光に埋め尽くされた時、彼は最後にこう呟いた。
		
妹尾 十三 「センセ、もし……僕の想いを受けとれない時は海は放してください。いっそ、誰のものでも無くなった方がいい」
			津江村 馨
			ィィイイイイイギギギギギギギg
			うぁん…
		
津江村 馨 「………」
			語り手
			その言葉を最後に、あなたの意識は鈍い痛みととも「浮上する。
			 
			 
			気がつけばいつのまに自室の寝台の上に寝かされていたのやら。起きてあたりを見回そうとすると、後頭部に鈍い痛みが走ります。
		
津江村 馨 「………ぅ、……痛…」
語り手 HP-1d3をどうぞ。
津江村 馨 1d3 HP (1D3) > 3
system [ 津江村 馨 ] HP : 15 → 12
津江村 馨 ずいぶんイイところにクリーンヒットしたらしいですね
語り手 おや……これは手ひどくやられてしまいましたね。
津江村 馨 僕は…自宅にいるのですか?
			語り手
			ええ。自宅です。命は無事なようですね。
			氷嚢などがあれば、痛む頭を冷やして手当をできるでしょう。医学をためされますか?
		
			津江村 馨
			ええ。氷嚢を探します。医学を
			CCB<=68 【医学】 (1D100<=68) > 70 > 失敗
			大の字です。
		
語り手 ああ、惜しいですね。思ったよりも手ひどくやられたようで、腫れは治ったものの痛みは引かないでしょう。
			津江村 馨
			触らないようにしつつ……そういえば、荷物の類はあるのでしょうか。
			外出時に………ああ!?日記の封筒や論文に使うあれそれも!!
		
語り手 ご安心ください。荷物はなぜか玄関のあたりに綺麗に揃えられていました。
			津江村 馨
			ほっとします…。
			中身を確認し、そういえば謎の粉薬や骨などもこの中に入れていたはず。
		
			語り手
			ええ。全てございます。
			 
			しとしと、重い雨の烟る朝。あなたの下に、妹尾文恒から電報が届きました。
			読みますか?
		
津江村 馨 ……読みます。
妹尾 文恒 『ジウゾウ クビククリテ シス』
			津江村 馨
			「…………」
			ああ。分かっていたのに。…
		
			津江村 馨
			うあああ~~~~~~ガメン
			ああ…赤文字
		
			語り手
			わかっていたことかもしれませんが、あなたの心の臓が冷え込んでいくのがわかるでしょう。
			代償をいただきに参りました。2/2D3の正気度喪失。
		
津江村 馨 CCB<=84 【SAN値チェック】 (1D100<=84) > 43 > 成功
system [ 津江村 馨 ] SAN : 84 → 82
語り手 ええ。やはり、津江村先生には『分かっていた』ことでしたね。
			津江村 馨
			『分かっていた』ことでした。
			いっそ薄情なまでに、この心は冷静で…それがいっそう憎らしくて、爪を立てた肌に赤く血も滲むぐらいには。
			爪が、肉に食い込んで血を落とします。
			なんだかその血が目を引き、ひとしずくのそれを口へ運びます。
		
津江村 馨 予 行 練 習
語り手 舌先から鉄の味がじわりと広がるでしょう。ええ、それが人の味でありますね。
津江村 馨 「………人の、味」
語り手 さて…冷静な思考のあなたであれば、文恒はきっと今頃葬儀の準備やらで家で忙しくしているかもしれないと思うことでしょう。どの顔をさげるのかは存じ上げませんが、妹尾邸に行けば文恒に会うことができます。
			津江村 馨
			……遺体損壊なんてしたら、余計にどの顔を下げてなんてことになるでしょう。
			いっそ。いっそですよ。
			彼の体を連れて、遠くへ行ってしまうのはどうでしょう。……なんて。
			なんて………
		
津江村 馨 子孫がいるのにロスト一直線の道走ってますね私
語り手 それが出来ればどれほど良かったでしょうね。しかし今頃池田脳病院には警官が立ち入り、遺体はすぐさま運び出され、あなたの知らない人間に身体を開かれ死因はああだこうだと調べられているであろうことは、あなたなら思い至るでしょう。
津江村 馨 ……優秀な警察。
津江村 馨 ええい!!こんな時だけ優秀なCoCの警察!!
			語り手
			あなたは外科医でも法医学者でもない、精神科医なのですから。肉体のことはどうにもならないのです。
			さて、これからどうなされますか。
		
			津江村 馨
			顔を……。
			そんな逃避行も出来ないようでは…妹尾邸に顔を出すのが無難なのでしょう。
		
			語り手
			承知いたしました。
			 
			 
			《妹尾邸》
			津江村先生がやって来ると、一晩に十年も歳をとったように、やつれた顔の文恒が出迎えます。
		
妹尾 文恒 「センセイ――急なことでして、すみません。全体どうしてこんなことになったのか」
津江村 馨 うええええん
津江村 馨 「…この度は、誠にご愁傷様でございます。………本当に、急で…」
			妹尾 文恒
			「真崎センセイによれば、昨晩あれの様子を見に行くと、どこから持ち込んだものか、麻縄で首を括っていたのだと」
			「センセイ、なにか知りませんか。ねぇ、センセイ」
		
津江村 馨 「っ……」
語り手 文恒の髪はぐっしょりと濡れて額に張り付き、顔は青ざめ、目は落ちくぼんでいます。
			津江村 馨
			「…………私、は…」
			「………」
		
語り手 そのまま、文恒は傘もささずに玄関前で立ち尽くし、雨に打たれ続けておりました。
			津江村 馨
			「………今のあなたに話すには、荷が重すぎるものです。潰れてしまいます」
			「そんなにやつれて…雨にまで濡れては、それこそ………。とにかく、中に入りましょう」
			それこそ、のあとの「後を追いかねない」は口には出しません。
		
			語り手
			責め立てる雨から逃げるように、二人は屋根の下に入るでしょう。
			文恒は台所に立ち、湯を沸かし始めました。
		
妹尾 文恒 「いつかこのような日が来るだろうと、覚悟はしておりました。ええ、本当です。覚悟だけはしておったのです」
語り手 文恒は茶をあなたの前に差し出すと、項垂れながら茶から立ち上る湯気をじぃ、と見つめていました。
			妹尾 文恒
			「なにしろ、暫くは忙しなくなります。きっと葬儀は明後日になるでしょう」
			「弟を哀れに思うのなら、ぜひいらしてください。どうか、ぜひ」
		
語り手 文恒は思わず顔を伏せって、しゃくれそうな声を上げてあなたに懇願します。
			津江村 馨
			「ええ。必ず。だから……」
			やつれた頬に手を重ねます。
		
妹尾 文恒 「………」
語り手 冷え切った頬から、雫が一筋あなたの指先を沿うように流れ落ちました。
			津江村 馨
			「………」
			このひとの身内を、私は……喰らおうとして…
		
妹尾 文恒 「ああ…ありがとうございます。センセイ」
語り手 そのままぽつりと、文恒は言葉を零します。
			妹尾 文恒
			「センセイ、どうか正直なところを仰ってください。あれは、十三は、本当の気狂いだったのでしょう」
			「センセイ、どうか仰ってください。あいつはもう手の施しようのない気狂いだったのだと。あのまま一生、元のようには戻れなかったのだと」
		
			津江村 馨
			ぐあああああっ ううっ
			うううああ~~~~~ん
			う うなるしか
		
津江村 馨 「………十三くんは…」
妹尾 文恒 「………」
			津江村 馨
			「………」
			「………今の医学の、届かぬところでした。…至らなかったのです」
		
妹尾 文恒 「……そう、ですか……どんな手を、つくしても……」
語り手 あなたの言葉を聞くと文恒はいっぺんに脱力し、ややあって、表情をなくして立ち上がりました。血の気の失せた顔のまま、ふらふらと玄関の方へ向かっていきます。
			妹尾 文恒
			「近所の人間に呼ばれておりまして。すぐに戻ります。葬儀ともなれば色々とあるようで。ええ、昨年に二度もやりましたから、慣れております」
			「身体も雨のせいでずいぶん冷えてしまっているでしょう。どうぞ茶を飲みながら、雨足が弱まるまで今しばらく、ゆっくりなさっていってください」
		
津江村 馨 心理学をおねがいします。
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 81 > 成功
		
			津江村 馨
			ぜってえついていきてえ~~~~~~~~~~
			後追いするじゃん
			そんなの……
			ああああ もう少し前にしとけばよかった
		
語り手 そうですね…彼に後を追おうという意志はなく。ただ、弟のために立派な葬儀を行おうという使命感が彼を動かしています。
津江村 馨 どんな回答を欲しがっているか…
語り手 今の彼には、それしかないのでしょう。
			津江村 馨
			………それでも、私もただ茶を飲んでいるわけにもいきません。
			「…雑用であればいたします。元々はそれで来たのですから」
			「一人きりでだなんて。私も、ただお茶を飲みに来ただけになっては肩身が狭いのですよ」
			押し掛けてきた割には肩身の狭さを主張します。
		
語り手 文恒はあなたに振り返ると、じわりと目じりに涙を浮かべるのでした。
			妹尾 文恒
			「でしたら…でしたら、己の代わりに弟の部屋を、遺品の整理をお願いしてもよろしゅうございますか」
			「己はあの部屋を見ると、やるせなくて…指も動かんのです」
		
			津江村 馨
			ここでもう一度心理学を。
			先程のものが読み間違えていればことです。
		
			語り手
			承知いたしました。
			SCCB<=85 心理学 (1D100<=85) > 7 > スペシャル
		
津江村 馨 ダブル失敗やファンブるとかだと両手を上げるしかありません(敗北宣言)
語り手 文恒は本当のことを言っているように感じます。
			津江村 馨
			では……
			「…承知致しました。雨なので、くれぐれも足元に気を付けてくださいね」
		
語り手 あなたは彼の痛々しく小さくなった背中を見送ることでしょう。
妹尾 文恒 「お任せしてしまって申し訳ございません、センセイ」
			語り手
			 
			 
			あなたが望むのなら、この邸内を探索することができるでしょう。もちろん、このまま何も知らずに帰ることも。しかし、文恒に十三の部屋の遺品整理を頼まれていましたね。
			十三の部屋…つまり私宅監置室へ、行きますか?
		
			津江村 馨
			頼まれていたものをまずはします。
			兄様の部屋も気にはなるけれど…傷心な上に部屋を漁られてはあまりに可哀想ではないですか、とも思えてならないのです。
			あるいは…両親の部屋も。
			まあとにかく、十三くんのお部屋に行って遺品の整理をしましょう。
		
			語り手
			承知いたしました。参りましょう。
			≪十三の部屋≫
			強烈な犬の臭いがします。部屋を見ると、床板が剥がされ、人が横たわれそうなほど長い窪みが空いていることに気が付けるでしょう。
			窪みの中へ降りて〈目星〉を振ることができますが、いかがなさいますか?
		
			津江村 馨
			してみましょう。出目がよくなることを信じて。
			CCB<=25 目星しょきち (1D100<=25) > 20 > 成功
			えっ
		
語り手 ……見つけてしまうのですね。
津江村 馨 語り手さんが不穏なことを…
			語り手
			ではあなたは、土に混じり小さなエナメル質の鈍い輝きをいくつも見つけるでしょう。
			ええ、人の歯が、あちこち幾つも埋まっていることに気づいてしまうのです。
		
津江村 馨 あ~~~あ、の気配
			津江村 馨
			「!? ………なに、これは……?」
			「……歯、………歯…?」
		
語り手 大きさはさまざまありましょう。驚いているご様子ですが、本当はこれが何の歯なのか、薄々気づかれているのではありませんか? <医学>をどうぞ。
			津江村 馨
			CCB<=68 【医学】 (1D100<=68) > 51 > 成功
			成功してしまった…
		
			語り手
			ええ、ええ。あなたには分かるでしょう。それらは『人の歯』です。
			さて…ここからどうなさいますか?
		
			津江村 馨
			人の…………
			その穴の中にふらふらと入ってしまいます…
			他に、ほかに何か……
		
語り手 雨に湿った土を掘ってみても、見つかるのは歯ばかりです。骨や肉などは見つからないでしょう。
津江村 馨 え…?なんで歯だけ…?
語り手 どうしてなのでしょうね。
			津江村 馨
			犬の歯が生え変わって……いや…
			ここに人とか死体があったなら骨もありそうだし…
			犬のにおい……ええ……?
		
			津江村 馨
			ここの…これを剥がしたのなんて、できるのなんか兄様以外に誰が……
			知っていて遺品整理を、だなんて…
		
語り手 一度、その穴から出てみますか?
			津江村 馨
			で……てみます…
			その穴はどれぐらいの深さなのですか…?
		
			語り手
			棺桶ぐらいの浅さでしょうか。
			あなたがそこから這い出て再び床を見やると、
			窪みはすっかり消え失せていました。まるで白昼夢を見ていたかのように、ただの床があるばかりです。
			1/1D3の正気度喪失。
		
津江村 馨 BGM停止 恐怖
			津江村 馨
			「え…………」
			CCB<=82 【SAN値チェック】 (1D100<=82) > 100 > 致命的失敗
			はい
		
語り手 おや…。
			津江村 馨
			1d3 (1D3) > 3
			はい!
		
system [ 津江村 馨 ] SAN : 82 → 79
語り手 元気な蝉ですね…(撫でる
語り手 床板が外されていたはずの場所を何度見ても、綺麗に床板ははまっているように見えます。そも、道具が無ければ板など外せないでしょう。また、あなたが湿った土を掘ったはずの指先はすっかり乾いていました。
			津江村 馨
			見事な死んだセミですね…
			ぴく……ジジ………ジッ……
		
			津江村 馨
			「は……は………?な、……」
			「なんで…?」
			「幻覚、……なんで、いつから……? いつ……幻、どちらが……?なにが……」
			「違う、ちがう、ちがう私、僕は………だから、これは……なんで、歯だってここ、に…」
		
			語り手
			あなたは窪みに降りた時に歯を手に取ったかもしれませんが、その手にはなにも握られていませんでした。
			一体全体何が起きたのか。突然のことに驚くのも無理はないでしょう。ここは現か夢か、状況を確認するべくあたりを見回すと……廊下に面した檻の向こう。文恒の部屋の扉が開いていることに気が付きます。
		
津江村 馨 「…………へや……あい、て……」
語り手 文恒の部屋は一度も立ち入ったことは無いでしょう。部屋の主も、今はいないはずです。どうされますか?
			津江村 馨
			(………部屋に、あのへやに。これが幻、まぼろしじゃない……り、りゆうが…。そう、探して………違う、これは…)
			誰に対するものでもない言い訳をひとりで呟きながら、泥汚れのひとつもない震える手で扉を開きます。
		
			語り手
			あなたはそろりと指先を扉にかけ、静かに文恒の部屋へと入っていきました。
			≪文恒の部屋≫
			部屋の中を見回してみると、ふと筆机の上に開きっぱなしの日記があることに気づきます。
			次のページが空白であるところを見るに、今開かれているのが一番最近の記述であることがわかります。
		
			津江村 馨
			「………にっき…」
			吸い寄せられるように、その日記に。
		
語り手 あなたは文恒の日記を見下ろし、眼鏡越しに彼の文字を追うのでした。
妹尾 文恒 『こんなことを書くべきか今も私は決めかねている。弟は人を食っていた。それも殺して食っていた。完全な気狂いだったのだろう。かわいそうに。あれはもう何年も狂ったままだ。罪に問われることはないだろう。裁かれることはないだろう。私はそれが哀れでならない。罪を犯しても裁かれないことが、まるで人でないと言われているようで。必要なものを持っていこう。全てを、十三の正気に委ねよう。』
津江村 馨 眼鏡描写たすかる
			妹尾 文恒
			《文恒の日記》
			こんな事を書くべきか今も私は決めかねてゐる。弟は人を食つてゐた。其れも殺して食つてゐた。完全な氣狂ひだつたのだらう。かはいさうに。彼れはもう何年も狂つたまゝだ。罪に問はれる事はないだらう。裁かれる事はないだらう。私は其れが哀れでならない。罪を犯しても裁かれない事が、まるで人でないと言はれてゐるやうで。必要なものを持つていかう。全てを、十三の正氣に委ねよう。
		
			津江村 馨
			げえーーーーーーーーーー?????????????????!!!!!!!!!!??????????!?!??!!!!!!!!!?????????????????
			え?
			???????????????????
			????????????????????????????????????????????????
			???????????????
			え
		
			津江村 馨
			「っ……!!??」
			「な、……なに、え、………なんで」
		
語り手 あなたはしばらく飲み込めず、立ち尽くすかもしれません。その間にも時間は無情にも流れ、どこか他人事のように雨足が弱まってきたように聞こえます。
			津江村 馨
			っあ~~~~~~~~………っはぁ…………
			やっぱ主観がいちばんわかんねえな………(セミ)
		
語り手 控えめなひぐらしの声がして、文恒の部屋の小さな窓から茜色の陽が差しこみます。けれど部屋の主は日が暮れようとも帰ってくることはありませんでした。
			津江村 馨
			兄主観が狂ってるのかもしれないし、弟主観が狂ってるのかもしれないし、わたしが狂人であればわたしの見ていたものはひとつも正しくない
			う~~~~~ 最高…
		
			津江村 馨
			「……………文恒、さん……。そうだ……かえってこない……。さがさ、なきゃ………」
			「……さがさなきゃ」
		
			津江村 馨
			え~~~~~~~ん!????!?!?
			何
			なんでえ
		
語り手 あなたはふらふらと妹尾邸を出てさまようかもしれませんが、その日は文恒と会うことは叶いませんでした。日はとっくに沈んでしまい、月があなたをあざ笑うかのように薄い光を注ぎぼやけた影を落とします。
			津江村 馨
			私の足はどこへ向かうのでしょう。
			私はどこへ向かうのでしょう。
			私の目に映るものは……認識しているものは、正しいのでしょうか。
		
			語り手
			……それを教えてくれるものは誰もいません。
			もう帰路につかなくては、明日に差し支えるでしょう。
		
			津江村 馨
			明日、私は明日を認識……して、まだしています。
			まだ、まだ私は私なはず……。あれはなにかを聞かなきゃ。
			帰路………
			わたしのいえに、かえります
		
			語り手
			承知いたしました。
			そして…それ以上、葬儀の日まで何かが進展することはありませんでした。
			 
			 
			≪自宅≫
		
津江村 馨 今までに行ってきたところをチョイスに出して「どこにかえるか」をしてみるところだった
			津江村 馨
			私も……ぼんやり過ごしてしまうでしょう。
			ああ、これでは白痴の様だ。
			あるいは、考えずとも済むようにそこかしこを歩き回っていたでもいいですね。
		
語り手 あなたは論文の提出を求められていたはずですが、それでは筆を執ることもかないませんね。
津江村 馨 ああ………多分頭になさそう……
津江村 馨 おこられるどころでは ない
			語り手
			そのころ、文恒から葬儀の案内を受けます。
			妹尾十三の葬儀へ参列しますか?
		
津江村 馨 参列……します。
語り手 ありがとうございます、津江村先生。それでは、持ち物がございましたら、お申し付けください。文恒からは、棺に入れたいものがあれば持ちこんで良いとのことを伝えられています。
			津江村 馨
			んん~~~~~~~~ぐ うう
			う~~~~~~~~
			冷静な頭であれば例の骨……
		
語り手 冷静であるかどうか、正気度チェックをされていきますか? ご自由にお振りください。
			津江村 馨
			冷静な頭ではありません。あれが彼の遺骨であれば、私はそれを手放したくはありません。
			彼の骨ではないかも…しれないけれど…
			正気度チェック……
			では冷静であれば骨、冷静でなければ……
			彼の好きなもの…何…
		
語り手 彼の好きなものはよくご存知でしょうに、津江村先生。
			津江村 馨
			いいいいい
			冷静じゃないのでまず僕の髪を切ります。
			伸ばしていた髪を。
		
			語り手
			承知いたしました。
			持ち物は髪の毛と、他になにかございますか?
		
			津江村 馨
			ぐううううん……………
			choice[入れる,入れない] 小指 (choice[入れる,入れない]) > 入れる
			では、切り落とした右の小指を……
		
津江村 馨 指きりげんまん………ってこの時代にあるのかな
語り手 ええ…承知いたしました。以上でございますか?
語り手 指切はございますよ。
津江村 馨 いけますね…
津江村 馨 ……そう…………うう……まだ何か足りない気がしてならないんです
			語り手
			これまであなたが集めてきたもの…手紙、骨、粉薬、日記…
			それでもなにかまだ足りない気がしますか?
		
			津江村 馨
			たったこれだけで彼を送るには……いえ、どうなのでしょう
			………後悔してもしきらずとも、今の私の頭では……これしか
			髪と、…少なくとも正常でない精神のまま落とした指を薄紙に包み、参列します。
		
			語り手
			承知いたしました。
			 
			 
			《葬儀》
		
津江村 馨 ぐううううううん………
			語り手
			あなたは葬儀のなかで、十三の棺に近づく機会がありました。文恒は棺へ花を供えています。
			あなたの手にも、花が握らされるでしょう。お好きな花があれば、ご指定いただいても構いません。
		
			津江村 馨
			でも彼は肉を食べて欲しがってた…
			調べてきています 少々お待ちを
		
			語り手
			承知いたしました。
			どうぞ、津江村先生の納得のいくように。
		
			津江村 馨
			葬式にありそうで大正時代にあった花縛り
			なかなかない…
		
語り手 おや…。
			津江村 馨
			赤のゼラニウム……?
			あいやこれ これ見てるとこ違って……
		
語り手 ゼラニウムですか、江戸時代にはあったようですね。大正の末から本格的な改良が始まったそうです。あっても不思議ではないでしょう。
			津江村 馨
			あっ……大丈夫そうですか……?
			昭和に発行された本に~って書いてあったのを後から見つけて「アッ」となってました よかったぁ…
			ではそれで…
		
語り手 承知いたしました。
			津江村 馨
			手に取ったのは、赤のゼラニュームです。
			赤、赤い色が目に入ったから…。
		
			語り手
			白黒の風景のなか、あなたの手には赤色が握られていました。赤のゼラニューム。「君ありて幸福」。あなたが夢の中で十三に問うたもの。
			花を棺にいれ…頬や額ぐらいでしたら触れることも可能ですが。他に棺に何をなさいますか?
		
			津江村 馨
			あの、これは後からの提案なので駄目でしたら駄目でよいのですが。
			私は懐に…自分の指を切り落とした刃物を入れていてもよいでしょうか。
		
			語り手
			構いませんよ。
			津江村先生でしたら、きっとそうなさるでしょうから。
		
			津江村 馨
			これであわよくば彼の指を一本落としたいと思っています。
			それも彼を食べたことになるのかは…どうなのでしょう。私の考え次第なのかもしれません。
		
語り手 そうですね…であれば、<隠す>をどうぞ。しかし、すぐに食せるわけではありません。葬儀が終わるまでは、人の目があるでしょう。
			津江村 馨
			私は右を落としたので、彼からは左の小指を。
			CCB<=85 【隠す】 (1D100<=85) > 23 > 成功
			今すぐにでなくとも構いません。
			人の目のないところで行います。褒められた行為ではありませんから。
		
			語り手
			ぶつり、と十三の左小指を斬り落とす。ゼラニュームの下で赤が広がっていく。
			あなたは…呼吸一つ乱すこともなく、彼と指を交換してみせ、手袋の中へと隠すことができたでしょう。
		
			津江村 馨
			「はは、君が望むのなら…もっと早くこうしていればよかった。あの邪魔な……警察達さえいなかったら」
			「………僕も一緒だよ。…………」
			手袋で隠している欠けた指で蝋のような彼の頬を撫で、戻ります。
		
			語り手
			そうしてあなたの順番は終わり、また次の人へ……
			──やがて、十三の弔いは滞りなく済むでしょう。
			葬儀の場で、沈痛な面持ちの文恒が津江村先生に話し掛けます。
		
津江村 馨 ふふ 見ちゃった
語り手 失礼いたしました。
妹尾 文恒 「センセイ、あれには親がおりません。肉親と呼べるものは己くらいのもので、さして友人もおりません。もしほんの少しでもあれを哀れんで頂けるのなら、どうぞ焼き場まであいつについて行ってもらえませんか」
語り手 本来、この地域での骨上げは主に遺族・親族のみで行われ、二人一組が決まりとなっております。けれど文恒は、是非にとあなたを呼んだのです。
津江村 馨 可愛い間違いなので撫でてあげましょう。
語り手 (煮凝りを差し出す)
品 (差し出される戦犯煮凝り)
津江村 馨 「…僕でよければ、いたしましょう」
語り手 あなたの快諾を受けて、文恒は絞り出すような声でただ一言「ありがとうございます」と言ってあなたの手を……小指の欠けた、手を握りました。
津江村 馨 (煮凝りを撫でかけて手を引く)
			語り手
			 
			 
			あなたたちは最新鋭の機材が揃う火葬場へやって来きます。
			コークス燃料に電動送風機で、十三の骨は呆気ないほど早く上がってしまいました。
		
津江村 馨 手ェ 気付かれたかな
語り手 まったく綺麗な骨でしたが、唯一、頭蓋骨だけはボロボロに焼け溶けていました。
妹尾 文恒 「……骨を拾ってください、どうか」
語り手 あなたの隣で骨壺を脇に置いた文恒が耳元に囁きます。
津江村 馨 やっぱりえっちなんすよね 距離が
			津江村 馨
			「………頭蓋骨、溶けてしまっていますね」
			骨をひとつづつ拾いながら…誰に言うでもなく口に出てしまうでしょう。
		
語り手 あなたがひとつひとつ骨を拾うと、それを文恒が受け取り、骨壺の中へと収めていくでしょう。
			妹尾 文恒
			「ええ…そのようですね」
			「…………」
			「──ここだけの話ですが」
		
語り手 さくり、と骨が一つ。骨壺に入ります。
津江村 馨 「……はい」
妹尾 文恒 「十三は人を殺して食っていたようなのです」
津江村 馨 「……………はい」
			妹尾 文恒
			「はっきりと確証がある訳ではありませんが、一年前、弟の部屋から異臭がして、床板を剥がしてみた所、人間の歯がごっそりと出てきました」
			「きっとこれは食べられなかったのでしょう。ほら――骨はよく焼けば脆いですから」
		
語り手 さくり、さくり。あなたが上げる骨は加減を間違えてしまえば呆気なく砕けてしまいそうなほど、脆く軽いのでした。
妹尾 文恒 「……そんな不吉な穴は、とうに埋めてしまいましたが」
			津江村 馨
			「………ここだけの話ですがね」
			「僕も、実はその穴を見てしまいまして」
			「それは、剥がれた床板の下にしっかりとありまして。雨で湿った土も、獣のような臭いも、あの白いエナメル質も。どれもハッキリと見たのですよ」
			「………それらは、僕が目を離した数瞬のうちに消えてしまいまして。…それからです、ええ。僕の気がおかしくなってしまったのは」
			またひとつ、骨を拾います。
			なんでもないかのように話しながら。
			「…………この中にね、僕の骨がひとつあるんです。灰になって、混じっている」
			「なんて言ったら、貴方は信じるでしょうか」
		
妹尾 文恒 「……ねぇセンセ。あれは、弟は気狂いだったのです。もはや取り返しのつかぬ、完全な、気狂いだったのですよ……センセは、それにあてられてしまったのでしょう……」
津江村 馨 まあ髪は……めっちゃ分かると思う……
津江村 馨 「…そうかもしれませんね」
			語り手
			文恒はそう言いながら、受け取った骨を骨壺に収めて行きます。あなたのものかも、十三のものかもしれない骨を。
			津江村先生。最後に、どの骨を上げたいですか。
		
			津江村 馨
			……通例通りであれば、喉仏ですが。……
			そうですね。喉仏にしましょう。
		
語り手 喉仏…軸椎ですね。承知いたしました。
津江村 馨 こういうときのやつはだいたいggった知識ですね(知識15)
			語り手
			あなたは最後に軸椎を、あなたの名を呼んでいたその喉の骨を拾い、骨壺へ納めます。
			焼き場の骨をすべて拾い終わると、骨壺に蓋がされました。
		
津江村 馨 ぐうううう 描写
			語り手
			軽く高い音を最後に、彼の骨を、死を、あの小さな壺のなかにすっかり閉ざしたのです。
			 
			 
			 
			──骨を拾い終えると、周囲から「サク、コリ、シャクシャク」と、何か脆いものを噛み砕いているような音がします。
			見渡せば、周囲の人間が我を争うようにして、拾いきれない小さな骨を口に含んでいるでしょう。
		
津江村 馨 へええ?????
			語り手
			よく見れば、斎場の人間もそれをしています。
			異様な光景に0/1の正気度喪失。
		
津江村 馨 んんんんん?
			津江村 馨
			CCB<=79 【SAN値チェック】 (1D100<=79) > 2 > 決定的成功/スペシャル
			あら…
		
語り手 ああ、なるほど…。クリティカルチケットをどうぞ。
津江村 馨 初めてのチケットですね
			語り手
			あなたは極めて冷静に、周りを見回したのでしょう。
			そこでふと、文恒と目が合いました。
		
system [ 津江村 馨 ] 🎫 : 0 → 1
語り手 ──忌まわしい緑の目を見開いた、文恒と。
妹尾 文恒 「センセイ、さあ、十三の骨を食べてください。さあ――ねえセンセイ。どうしたのですか。なぜ骨を、センセイ。さあ。さあ。さあ。さあ。さあ」
			津江村 馨
			「………あなたも、喰らう方ですか」
			「そんなに急かさずともいいじゃありませんか。私はとうにそちら側へ行く覚悟です」
		
津江村 馨 おいしそうな音だよお…
語り手 目の血走る文恒が、あなたの手に十三の骨を押し付けます。いつの間にか、見知らぬ十数人に取り囲まれ、とても穏便に断れる状況ではありません。辺りにむせるような獣臭が立ち込めます。自分を取り囲む人間たちや、文恒の唇の中央が、犬のようにつり上がっていることに気づくでしょう。
			津江村 馨
			骨、骨ですね。
			十三くんは、彼は食べられているんだなということに安心を覚えるでしょう。
			その安心のもとに、私も……………彼の骨を、食べます。
			元よりこうするつもりでした。
		
津江村 馨 お腹が空いてきてしまう 蝉を食べてる音にも聞こえてきました
語り手 すぐ近くには骨壺があるでしょう。骨を選びますか?
津江村 馨 骨壺の中身を抜き取られて食べられているのですか?
			語り手
			他の誰かに抜き取られてはいませんが、あなたの位置からならばきっと届くでしょうし…
			目の前の男も、止めはしないでしょう。
		
津江村 馨 では、いちばんてっぺんの軸椎を。
			語り手
			承知いたしました。あなたは、軸椎を手に取り──
			彼の遺骨を口に含むと――それはなんの味もせず、ほのかに日向くさかった。
			唾液が吸い取られ、ぼそぼそ口の中で崩れていく。どうにか飲み下すと、周囲の人間はにっこりと笑った。
		
津江村 馨 うええええ 手作り動画
			語り手
			拍手の音が聞こえる。ひとり…
			ふたり、さんにんと。
			ようこそ、ようこそ。
			 
		
津江村 馨 あーあ
			語り手
			そこからどうしたのか記憶がはっきりとしないが、葬儀の全てがつつがなく終わり、挨拶もそこそこに帰ったのでしょう。
			口の中に、遺骨の匂いが残っている。
			それは、なんの味もしなかったのに、あれは、そう、旨かったような気がする。
			旨かった。
			 
			そう、旨かったのだ。
			 
			いつもの自室、なぜだろう、犬の臭いが立ち込めている。
			当て所をあちこち探し回る。しかしそれはすぐに掻き消えたのか、それとも、鼻が莫迦になってしまったのか。
			──二度と、感じることはなかった。
			 
			 
			≪エピローグ≫
			全てが終わり、幾日も経たない日。
			長閑な、何事もない日、正午前。関東一帯を巨大な地震が襲った。
		
津江村 馨 ああ‘‘‘‘‘‘~~~~~~~~
			語り手
			柳川県内では、二万戸超の家屋が全潰し、焼失し、多くの混乱を齎した。津波は貧民窟を海へ攫い、死者は底濱市だけで一万を数える。
			妹尾邸も、池田脳病院も倒壊し、燃え尽き――そして、
			 
			彼らの行方は、誰も知らない。
			──異説・狂人日記 了。
			エンドA:
			1D6の正気度ポイント回復
			探索者生還。
			エンドA後遺症:
			探索者の血統に食屍鬼の血が僅かに混じる。探索者とその子孫が人体の一部を摂食した際の正気度減少時に、規定された減少の値を永続的に+1する。
		
			津江村 馨
			お疲れさまでした。
			エンドA……なるほど。噂のCには及ばずでしたね。でも、これが私の結末。Aです。
			とてもいいエンドでしたね。
		
語り手 あなたではエンドCは無理な話ですよ…食べることを断らなくてはいけないので。
			津江村 馨
			やはり食屍鬼でしたか。かわいいわんちゃんたちと戯れるよいシナリオでした。
			断る……無理難題ですね……
		
語り手 後遺症について、補足いたしましょうか。
津江村 馨 はい。
津江村 馨 じゃあだいたいの人は断らずに食べたのか…
語り手 日記の最後の頁を覚えておいでですか。
津江村 馨 えっち
妹尾 十三 『私が死んだ後は、どうぞ、その遺骸を食べてください。私の身体には種がありませんでしたので、子も遺せず、食べてすらもらえないのであれば、到底生きてきた甲斐がないではありませんか。どうぞ、弔いと思って、私の遺骸を食べてください。それだけが私の本当です。それですっかり、悔いはありません。』
語り手 妹尾十三はですね、「先天性睾丸欠損症」といって子を残せぬ身体だったのですよ。
			津江村 馨
			子を残せぬ、というのは はい ええ……。
			そういうものだ、となんとなく受け止めていました。
		
語り手 これから彼の血は、あなたとともに残されていくのでしょうね。
			津江村 馨
			ンンン゛
			へえ………………………………………………………………………………………
			なるほど、私が子孫を残す理由が判明しました。
		
			語り手
			ええ、食べられてこそ妹尾十三はこの世に何かを残せるのです。
			それでは、最後にシナリオの背景を紹介して、今宵はお開きといたしましょう。
		
津江村 馨 はい。
			妹尾 十三
			妹尾 十三
			STR5 CON7 POW6 DEX8 APP13 SIZ9 INT16 EDU14
			二十一歳男性。先天性睾丸欠損症。少年時代、同級生から乱暴を受けて、精神に変調を来たした。裕福な家庭であったため、私室を改造した部屋で四年ほど監置されながら、一年前まで探索者の往診を受けていた。偏執病であり、しばしば周囲の人間が自分に害をなそうとしていると言っては暴れだすことがあった。寛解時(病症が落ち着いているとき)は、ごく穏やかで物静かな青年である。兄の用意する薬(=人魄)を長期間服用することによって、心身が食屍鬼に近づいている。現在は池田脳病院に入院しているが、『ここが自宅であり、担当医の真崎は下男(下働きの男性)である』と思い込んでいる。正気と狂気の狭間で世界で、周囲の人間こそが人食いだと認識した十三は、探索者に助けを求めるため便箋と万年筆を調達し、灯台守の男に手紙を託したのであった。
		
			妹尾 文恒
			妹尾 文恒
			STR11 CON13 POW13 DEX15 APP11 SIZ12 INT15 EDU17
			三十一歳男性。十三の兄だが、養子であり血の繋がりはない。病身の弟を哀れに思い献身的に面倒を見てきたが、一年ほど前に両親が相次いで病死し、それを境に十三の病状が急速に悪化する。ついに文恒は、両親の遺した土地を売り払い、十三を脳病院へ入れる決断をする。
			神経が衰弱気味であるがその他は健康。骨接を生業にしており、東洋医学に興味がある。
			本草学の大著『本草綱目』に人体の薬物利用に関する記述を発見し、首吊死体の真下に溜まる体液と土の入り混じった薬(=人魄)を、長期間に渡り十三に服用させていた。
		
			真崎 敬之
			真崎 敬之
			STR14 CON14 POW18 DEX12 APP9 SIZ16 INT17 EDU20
			五十五歳男性。池田脳病院の医師。長身痩躯、表情は乏しく、声に感情を乗せずに喋る。心理学に長けた者から見れば、これが自分の心理を読み取らせないよう意図的に行っているものと分かるだろう。
			探索者とは学会等で顔を合わせることもあり、互いに会えば挨拶を交わす程度の知り合いである。
			精神医学に関しては現状を良しとしておらず、どちらかと言えば革新的な立場を取っている。
		
			灯台守
			灯台守の男
			STR17 CON16 POW7 DEX13 APP1 SIZ10 INT10 EDU6
			元人間の食屍鬼。貧民窟の生まれで、長年に渡り人の屍肉を食らっている内に変貌した。理知的な個体であり、探索者が進んで敵対しようとしない限り争うことはない。
		
津江村 馨 私は……私も、語り手のお手伝いをしてもよろしいでしょうか。
			語り手
			もとより私の許可など、不要でしょう。
			好きに世界をお歩きなさい。彼の生きていた痕を刻みながら。
		
			語り手
			《シナリオの真相》
			探索者は大正十二年を生きる精神科医だ。かつて自身の患者であった妹尾十三からの手紙を受けた探索者は、一年ぶりに会いに行く。そこで彼の口から聞かされたことは、「この街には無数の人食いの怪物がいて、人間と成り代わろうとしている」という、妄言としか思えないものだった。
			妹尾十三は、現在の病院に入院する以前、兄の用意した薬を長年に渡り服用していた。それは首吊り自殺者の死体の真下から掬った泥を元に作った薬であり、体液や汚物が染み込んだ悍ましい薬であった。薄暗い監置室でそのようなものを摂取し続ける内に、彼の心身は食屍鬼に近づいてしまう。
			彼の知覚する世界は真っ当な正気の世界から外れていき、それはやがて周囲をも巻き込み始める。世界が歪み、狂気と正気とが混じり合っていくその街で、探索者は自我を保ち続けることができるのか――。
		
津江村 馨 ふふ、では……物語の外でまた物語を紡ぎながら、子孫たちを見守るとしましょう。
語り手 「さて、最後にもう一つ。あなたの知るべき真相があります」
津江村 馨 …何でしょう
			語り手
			「実のところ、『私』の記した描写は『あなた』の視点から見た現実であり、それが他者から見える現実と同じとは限らないのです。聡明な津江村先生のことですから、もう既にお気づきでしたよね」
			「もっと分かりやすい言葉を使うと…」
		
信頼できない語り手 「『信頼できない語り手』をご存知でしょうか。<知識>ロールをどうぞ」
津江村 馨 CCB<=85 【知識】 (1D100<=85) > 66 > 成功
信頼できない語り手 「博識でいらっしゃる。『信頼できない語り手』とは、叙述トリックの一つであることをあなたは知っていました。読者や観客を惑わせたりミスリードしたりするものですね。正確には普通一人称小説でもちいられるものですが、TRPGというものはマスターから提示される情報を一人称視点で見て物語を進めるので、親和性が高いのでしょう」
			津江村 馨
			うわっ立ち絵が ヤだなあ
			好き好きすぎる
		
品 だからね…このシナリオは、代理KPなの…
			津江村 馨
			はい。……。
			私は、私の視点が果たして「ほんとう」だったのか。今も信じることはできません。
		
信頼できない語り手 「続いて<アイデア>ロールをどうぞ」
津江村 馨 うえええええん……そういう……
			津江村 馨
			CCB<=80 【アイデア】 (1D100<=80) > 39 > 成功
			嫌ですね、こういうときだけ成功してしまうの。
		
			信頼できない語り手
			「大変に聡明でいらっしゃる。『あなた』がこれまで見てきたもののなかで、いくつかおかしな点に気づけるでしょう」
			「妹尾十三は一年前に池上脳病院に入れられ、そこで初めて真崎に出会ったことは想像に難くありません。だというのに、なぜ破かれた日記に『下男の真崎』が登場しうるのでしょう。日記は私宅監置中で書かれたらしい、つまり脳病院に入院するまえに書かれたものです。不思議ですね」
		
津江村 馨 ………。
			信頼できない語り手
			「もうひとつ、分かりやすいのはあなたも戸惑った通り、妹尾十三の私室の床板です。あれが剥がれているように見えていたのは、さて世界が歪んでしまったのか、あなたの正気と狂気が混じり合ってしまったのか──」
			「誰も教えてくれるものはいません」
		
			津江村 馨
			私は、私の目を、脳を、記憶を信頼するということを失いました。
			それでもそれは、この物語が………教えてくれたことでしょう。
			この世界に、ほんとうに”正気”である人間など…どこにいるのでしょう。
			そも、”正気”とは。私の隣にいるあなたも、見ている世界はもしかしたら極彩色の海に浮かんだ小舟からの景色だけではないのでしょうか。
			…本当に、面白いですね。
		
津江村 馨 なんか誘導されたエンドに行かなかったっぽいですね ふふ
			信頼できない語り手
			津江村先生の物語、確かに見届けさせていただきました。
			本セッションはここまでとなります。長い時間お付き合いいただき、ありがとうございました。
		
			津江村 馨
			………あなたが誘導しようとしていた先も気になりますが、それは…それは、あなたの物語に片足突っ込むことになりかねませんね。
			私は……私は実はそこまであたまがよくないので、単純なことしか考えられないのです…
		
			信頼できない語り手
			いいえ、『ここで合っています』。
			本当であれば、このシナリオは葬儀場の場面で選択肢を提示するのですが…津江村先生の意思は固かったようですので、今回は特に提示しませんでした。
		
			津江村 馨
			そんなそんな。
			私は哲学もまったくかじっておりませんし……あら、そうなの?
			指なんかも切っちゃいましたしねえ…
		
信頼できない語り手 骨を食べるか、<隠す>に成功して骨を食べたふりをするか、頑なに断り続けて阿呆船に乗せられるか…。
			津江村 馨
			Cの星音さんは阿呆船に乗せられてしまったのでしょうか、順番から察するに…
			順番からっていうか、話からっていうか、モロですね
		
信頼できない語り手 ええ、そうですね。そして阿呆船の1d10/1d100チェックで一時的狂気あるいは不定の狂気に陥ると、エンドD。本シナリオで唯一のロストエンドとなります。
津江村 馨 なんてこと…
信頼できない語り手 エンドCは、エンドDのロストを避けないといけないので細い道です。
			津江村 馨
			本当に針の穴で突いたかのような細い道……
			あの日記を読んでなお「食べない」決心を持ち続けた意志の強さが出目にも反映されたのでしょうか。
		
			信頼できない語り手
			そうかもしれませんね。
			さて、お時間もだいぶ過ぎてしまいましたが…何かこの場で聞きたいことはございますか?
		
			津江村 馨
			疑問はそこそこありますが、どれも現実か妄想か幻覚か区別がつかないので…敢えてそのままと致しましょう。
			どうしても分からなかったら、シナリオを買います。
		
信頼できない語り手 承知いたしました。成長ロールは後程集計いたしましょう。
			津江村 馨
			はい。
			でもきっとこれにて引退です。成長は…辞退しましょうか。
		
信頼できない語り手 さようでございますか。承知いたしました。
			津江村 馨
			この美しい物語はこれで閉じたいのです。
			語り手さんも、遅くまでありがとうございました。
			これからも、何も信頼できない世界の外側で彼の遺伝子を腹にかくまい生きていきましょう。
		
語り手 ええ。たとえあなたの物語がここで閉じてしまったとしても、あなたの命は後世まで受け継がれていきますからね。
妹尾 十三 ……センセ。僕もついていって、よろしいですか……?
			津江村 馨
			うん。いいよ、おいで。
			違う目で見る世界のことを話そうじゃないか。
		
妹尾 十三 ……はい!
津江村 馨 …そうして君と話していれば、少しは僕も…君の慕ってくれる価値のあるものになる…だろうね。
			語り手
			 
			 
			かくして、二人の新たな旅路は始まったのでしょう。
			───────────────
			
			  異説・狂人日記
			  
			   ───────
			  
			 著: 津江村 馨
			  
			───────────────
		
			津江村 馨
			wwwwwwwwwwwwwww
			例の動画の
		
品 最後の最後で間違えちゃった えん…