1日目


見守りkurage : 久々にこの立ち絵を見ましたね 今回は普通の子、らしいが……
東屋敷 潤 : 普通の子、らしいね
見守りkurage : 始めていこうか 普通の子よ
はじめに : ・本シナリオは4月1日限定公開の「あトの祀リ」(新旧問わず)通過PC限定エイプリルフールシナリオ(KPレス)です。ロストしていても生還していても通過できます。
・あトの祀リ本編のネタバレが含まれます。現行、未通過の閲覧/プレイは非推奨です。
・本シナリオでロストすることは絶対にありませんが、後には何も残りません。ここで起こることは全て本編には関係のないことです。
・一本道の読み物です

※KPレスですがKPを立てて回ることも可能です。プレイ人数は一人を想定していますが、複数人に改変して回っても問題ありません。
(このKPレス部屋をそのまま回す際に使って頂いても構いませんが、KPあり版はご用意できなかったので このまま使って頂くか、ご自分で用意して頂けると幸いです)

※部屋素材の無断転載や他シナリオへの使用、AI学習は禁止です。

現在の画面(シーン:はじめに)はスクリーンショットしても大丈夫です。卓報告の際にご利用ください。
次のシーンから本編が始まります。
見守りkurage : よし SS撮った
導入 : 遣らずの雨が桜を流す。
今日はあなた方高等部三年生の卒業式だ。
高校生活最後の春、あなたはもうどこへでも行ける。

───祭りの後は、いつも寂しい。

HO無:あなたは蛙徒の村と呼ばれる小さな村で過ごす高校生だ。
今日、卒業式を迎える。ただ、それだけ。

事前情報
G県にあるこの村は山奥にあり、周囲は深い森と霧に囲まれているため外に出ることは難しいが、高等部を卒業すれば就労や大学への進学のために村の外に出てしまう子供も居ることだろう。古い信仰の名残である形式だけのお祭りやすっかり廃れた神殿がある以外に変わったところのない、のどかなところだ。
今日はあなた方高等部三年生の卒業式だ。


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東屋敷 潤 : 外に出る選択肢もあるんだね……どうしようか
東屋敷 潤 : choice 村の外へ出る 村に残る
(choice 村の外へ出る 村に残る) > 村に残る
東屋敷 潤 : 残るんだ
1 : 卒業式当日。
目が覚めれば、薄い窓の向こうから早朝にも関わらずにぎやかな人々の声が聞こえる。卒業生を子に持つ親以外に関係なさそうな行事ではあるが、娯楽に飢えたこの村においては、村の宝である子供達の門出は十分な大イベントだ。そのため、村総出で卒業式を祝うために、この早朝から大人達が子供達本人よりも張り切って準備をしているのだ。
目覚めたあなたを、家族が朝食の席で待っている。あなたの成長をどこか惜しむような、寂しがるような、しかし誇らしげな顔をして。

朝食を食べ、身支度を整えたあなたは家族に見送られて家を出る。とはいえ、後ほど式で会うことになるのだが。

家を出れば、今日は生憎の雨。
折角咲いた桜も、雨に打たれて下を向いている。少しだけ気分は落ち込むかもしれない。
しかし、今日という日は二度とやって来ない。あなたは傘をさして、あるいは雨合羽を着て歩き出す。今日は少し遠回りをして、村を一周してから学校に行こう。そんなことを考えながら。
東屋敷 潤 : なんだ、せっかくの晴れの日に雨なんだ。
どうせなら桜が散る中で迎えたかった気がするけど、これはこれで悪い景色じゃないかも。
東屋敷 潤 : 1d100 雨は嫌い⇔雨は好き
(1D100) > 32
東屋敷 潤 : あんまり好きじゃないな 髪が余計に跳ねて邪魔だし、湿気でべたべたするし
東屋敷 潤 : まあ、雨はあんまり好きじゃないんだけどね……。
この日にと思ってお小遣いを貯めて買った靴、用意したはいいけど……こんな日におろすのはなんかもったいないな。やっぱり、いつもの靴にしよう。
2 : ▼聞き耳
東屋敷 潤 : CCB<=25 聞き耳
(1D100<=25) > 68 > 失敗
東屋敷 潤 : ない…
2-2 : 特に何も聞こえない。雨音が聞こえるばかりだ。
3 : 「おはよ!」
「なんだか落ち着かなくて迎えに来ちゃった、ね、今日は一緒に学校行かない?」
「せっかく最後だし……」

声をかけられ、そちらを見ればあなたの幼馴染の勝が居た。
良くは知らないが、彼は村の冠婚葬祭を担う柳田家の一人息子だ。幼少期からあなたを含む同年代の子供達の後ろをついて回っていたが、それは大きくなっても変わらない。
勝はにこにこと嬉しそうに、傘を持っていない方の手であなたの手を握る。
さすがにこの歳になって手を握って仲良く登校などと、少し気恥ずかしさがあるかもしれないが。あなたが不満を言う前に手を引っ張られ、握った手と手が雨に濡れる。

そんな様子のあなた達へ、近くを通りかかった村人たちが「転ばないようにな」と、微笑ましそうな目線を送っていた。
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見守りkurage : ァ゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
見守りkurage : かわいい ちゅ かわいい 最高
見守りkurage : うれぢい なんでこれ正史じゃないの?
東屋敷 潤 : 「は? ……まあ、うん。いいよ」
この歳になってこの懐き方は正直ちょっと、恥ずかしい……。けど、まあ……まさるはこれがいつもだし、今更だよ。
有無を言わさずなところあるよね。諦めて手を引かれる。
東屋敷 潤 : 別に、俺も村に残るから最後じゃないんだけどな。
まさるは……どうだったかな。柳田んとこの子だし、村に残るんだろうけども。
4 : ヒキガエルのような頭と、コウモリのような耳を持ち、石で出来た玉座にけだるげに座っている肥えた中年、あるいは巨大に肥大した赤子のような体型の像が鎮座している。これがいわゆる、遥か昔にこの村で信仰されていた槌蛙様の姿とされている。
ぽつん、と村の中央付近に建てられているこの像は信心深い老人が手を合わせたり、さすったりしているのをよく見かけることだろう。
今は村人達に花飾りをつけられ、随分陽気な様子になっている。

勝は像の前に行くと少しだけ悪戯っぽく笑った。
「知ってる?この像の足の裏を撫でると……好きなひとと両想いになれるのだって」
「健太さんと洋子さんもここでおまじないをしたのだって……」
「あ、そういえば、洋子さん、今日退院なんだって。さすがに今はまだ面会時間じゃないけど……朝の挨拶くらいなら窓越しにできるかも」
「赤ちゃんにも早く会いたいね」

洋子と健太というのは、あなたの近所に住む夫婦だ。
最近洋子が第二子を出産したため診療所に入院しており、健太や祖父である村長が頻繁に診療所へ見舞いに行っていたのを知っている。
診療所へ向かえば、洋子に朝の挨拶くらいはできるかもしれない。
東屋敷 潤 : 「ああ、今日だっけ。じゃあちょっとだけ挨拶いけるかな。 ……にしても、洋子さんはともかく……健兄ちゃん、そういうの信じる方なんだ。迷信だって言いそうなのに」
東屋敷 潤 : 診療所、行けそうなら行ってみようかな。
5 : ▼アイデア
東屋敷 潤 : CCB<=80 アイデア
(1D100<=80) > 21 > 成功
5-1 : 成功→槌蛙様像に何か違和感を覚える。今まで少しも感じたことの無かった、恐怖や嫌悪に似た何か……。
東屋敷 潤 : ? ……
東屋敷 潤 : なんか、この像が怖い気がするな。なんだ…?いつものカエルなのに。
6 : あなたがどこか上の空でいると、勝が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫?」

あなたの方を心配そうに見つめ、気遣うようにしながら手を引く。

もし、あなたが勝におまじないの相手はいるのかと雑談まじりに聞くのであればきっとこう言うだろう。

「内緒!」
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見守りkurage : かわいい゛
見守りkurage : たすけてくれ かわいい
東屋敷 潤 : 「なんだよ、内緒って」
雑談交じりに聞いたんだろうな。そういうこと知ってるんなら、お前もなんか試したりしたの?って
7 : 商店街の店にも華やかな飾があちこちに飾られている。
喫茶店アマガエルの店主や、駄菓子屋のおばあちゃんがわざわざ外に出て来て、あなた方を見送ってくれる。
卒業式が終わったら、友達皆で遊びに来るのもいいかもしれない。

勝も同じことを思っていたようで(そもそも、あなたがそう思うかはわからないが…)、「帰りに皆で来ようねっ」と嬉しそうに笑った。
東屋敷 潤 : 「ああ、うん……いいかも。なんなら今日ぐらいは『卒業記念にオマケしてあげる』みたいな展開、あるかもしれないし」
勝と、あとは……誘えそうなら歴研のやつらにも声かけてみようかな なんて考えてる
人数は少ないけど一応おなじ部活のやつらではあるし
8 : ▼アイデア
東屋敷 潤 : CCB<=80 アイデア
(1D100<=80) > 48 > 成功
8-1 : 成功:一瞬、雨粒に混じってあなたの傍に降り注いだ桜の花びらが、灰のように崩れた…ような気がした。気のせいだろう。

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東屋敷 潤 : ? ……。
何、さっきから。なんだか妙な違和感が……?
9 : 診療所の前に行けば、やはり早朝のためか静かだった。患者もまだ眠っている時間だろうか。
ゆっくり眠っているのをわざわざ起こすのは気の毒だ、とあなた方がそのまま通り過ぎようとした時、診療所の玄関が開く。
そこに居たのは健太と、赤子を抱えた洋子だった。
「卒業、おめでとう。本当は式にも行きたかったんだけど…さすがにお医者様に怒られるから、ここでお見送りだけさせてね」
洋子はおくるみに包まれ、すやすやと眠る赤子の顔がこちらに見えるようにして微笑んだ。健太も少し困ったように、心配そうに洋子のほうを見ている。

勝は感激したように、小さく声を漏らした。そしてすぐに慌てたように、しかし生まれたばかりの子供を驚かせないように、洋子たちに診療所の中へ入るように促した。
洋子たちはクスクスと、おかしそうに、くすぐったそうに笑った。

そうしてあなたの傍に戻って来た勝は、またあなたの手をとって先を歩き出す。
東屋敷 潤 : 健兄ちゃんも一緒だったんだ。
洋子さんと赤ちゃん、元気そうでよかったなと安心して、勝と一緒に行く。無事に家に帰ったら退院祝いなんかも用意するとかって、確かおかーさんが言ってた気がするな…。
10 : 「洋子さんの赤ちゃん、かわいかったね…」
勝はふと、思い出したようにこちらに振り返る。
「…なんか、全然関係ない話になるんだけど…僕、卒業したら村の外の大学に行くんだよね」
「学校の先生になりたくて…あの子が初等部に上がるくらいまでには、先生になって帰って来たいな…って」
「君は卒業の後、どうするんだっけ」
繋いだ手を揺らしながら、少し寂しそうに問いかけてくる。
卒業してしまったら、きっとほとんどの同級生は村を出てしまう。村に残るのは家業を継ぐ長男や長女くらいのものかもしれない。洋子や健太のように自ら村に残ることを決めた者も居るが、それは少数だ。

あなたの未来は希望に満ち溢れている。しかし、それと同じだけの不安もあるかもしれない。
少なくとも、勝はそのようだった。

「…ここを出ても…たまにでいいから会おうね」
「僕は卒業したら、ここに帰ってくるから…君がここに来たら、いつでも会えるよ」
「父さんのことも心配だしね」
東屋敷 潤 : 学校の先生、なるんだったら進学しなきゃか……そういえば
そうなると、村に残るとは出たけど……俺も進学、なのかな 外に
東屋敷 潤 : 勝とは別の学校なのかも
東屋敷 潤 : 「……そっか。俺も進学。歴史が好きだから勉強したくて……ああでも、せっかく勉強するならさ。先生なんかになるのもいいね。なんならここの学校でさ。ははっ」
東屋敷 潤 : 「もしかしたら同僚、になったりしてね」
11 : ▼目星
東屋敷 潤 : CCB<=75 目星
(1D100<=75) > 28 > 成功
11-1 : 成功→空が赤く光ったような気がする。…雷だろうか?

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東屋敷 潤 : 赤? ……って、……赤い?
こんな雨の日に……赤い雷?
12 : 村の中にある小高い山の中に続く石の階段を登った先には、「神殿」と呼ばれている石造りの建造物が見えてくる。一見、石を無骨に積み上げて出来た大きな家のような造りをしており、正面の中央には出入口らしき鉄扉が構えて居た。
そのひときわ目を引く建造物のすぐ横には、山の斜面に直接とりつけられたような鉄扉があり、村人の誰もこの扉が開いたところを見たことがない。…というのが、この村で出回っている噂だった。大人たちが今は使われていない坑道であるとか、そういう風に話しているのを聞いたことがあるかもしれない。
…とはいえ、村の子供にとってはお祭りの日以外には用事のない場所だ。
肝試しには丁度良いが、そんな罰当たりなことをすれば大人達に叱られてしまうだろう。
13 : 門の前には柳田家の現当主にして勝の父、柳田考と村長が居る。彼らは雨宿りしながら談笑していたようで、こちらに気付くと小さく手を振って来る。

勝は「お父さん!」と嬉しそうに手を振り返している。

近付いて挨拶するのであれば、口々に「おめでとう」と祝いの言葉をくれるだろう。

孝は、勝があなたの手をずっと握っているのを見つけて、優しく諫めるような目線を彼の方へ向ける。
「こら、お友達を困らせてはいけませんよ。…いつも勝がお世話になっています」
「小さな時から仲良くしてくれてありがとう…これからも、どうかこの子と友達でいてくださいね」
愛おしそうに目を細める孝の横で、村長も柔らかく微笑んだ。

村長は軽くあなたの背中を押して、
「気を付けていってらっしゃい」
と、送り出す。
見守りkurage : おいエロい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
見守りkurage : ママじゃんこんなのもう
東屋敷 潤 : 「もうこれ、いつものことだし…今更気になるものもないよ、もう。おじさんと村長もありがとね」
東屋敷 潤 : なんか、でかい犬みたいに思えてきたかも。勝…。
こういう犬っているよね
14 : その時、あなたは何故だかこの先に行けばもう二度と彼らと会えないような気がして、一瞬足を止める。
おかしな感覚だった。しかし、一瞬のうちにそんな感覚は忘れ去ってしまう。

あなたがたは学校に向かって歩き出すことだろう。
東屋敷 潤 : 「……? ……」
なんだろう、さっきから……。
卒業式の日、だからかな。
15 : ▼聞き耳
東屋敷 潤 : CCB<=25 聞き耳
(1D100<=25) > 76 > 失敗
15-2 : 失敗→雨の勢いが強くなっている。急いだほうがいいだろう。
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東屋敷 潤 : 「……雨、強くなってる。早くいこ」
まさるの手、引いて行く。足元も悪いし…。
16 : 学校につくと、すでに何人か校舎に入っていくのが見える。木造の古い造りをしている校舎がいつものようにあなたがたを迎えた。あなたたちが通うこの学校は村に一つしかない学校で、小中高一貫である。当然、村の子供しか通っていないため全て合わせても50数名程度しか生徒は居らず、あなたがたのいる高等部にはあなたたち4人と20名のクラスメイトしか居ない。
そんな校舎の壁面には大弾幕が貼ってあり「高等部三年生の皆さん、卒業おめでとう!いってらっしゃい!」と書かれている。周囲にはかわいらしいカエルのイラストが描かれている。
また、卒業式に向けてか校舎のほうから吹奏楽部の演奏練習が漏れ聞こえているだろう。

勝と共に教室に向かえば、クラスメイト達が明るく挨拶してくれるだろう。
しかし、楽し気な雰囲気の中には寂しさが見え隠れしている。やはり皆、卒業するのは寂しいのだ。
東屋敷 潤 : (やっぱり、寂しいんだ。そうだよな、進学でここを離れて…そのまま、ってやつもいるし。そうだとしたら、もう会えないんだよな)
17 : 暫くクラスメイトや勝と雑談をしていると、教室前方の扉から誰かが入ってくる気配がある。癖毛のひどいぼさぼさの頭、少し幼さを残す目を眼鏡越しに覗かせている。彼はあなたがた高等部の担任である臙脂だ。
「ほら、皆さんHRを始めますよ」
彼が教卓につくと生徒たちはそれぞれ席に着き、ほぼ同時に始業のチャイムが鳴る。

学生生活最後のHRである。
見守りkurage : ァ゛……先生、ちゃんと名前が……
東屋敷 潤 : 仕方ない、最後ぐらいは真面目に出てやるか。
なんだかんだ受験のこととかで世話になったし…。
18 : 臙脂は卒業式に関する伝達事項等を簡潔に伝えた後、こちらに向き直る。
その表情はいつも通り穏やかで、優しいものだった。
「今日という日を皆さんと一緒に迎えられたことを、喜ばしく思うと同時に…寂しくも思います」
「私は先生としては本当に頼りなかったかもしれませんが…皆さんの担任になれて、本当によかった」
「良い式にしましょう…でも…」
彼はそこまで言って、堪え切れないといった様子で声をつまらせる。
卒業式はまだ始まっていないにも関わらず、彼は袖で目元を拭いながら肩を震わせていた。生徒のほうはといえば一緒に泣き始める者、あきれたように笑う者…様々であった。
廊下を通りかかった生徒指導の臣雄…通称“まっちゃん先生”は、窓から顔を覗かせて臙脂をからかう。
だが、恐らく大部分の生徒は見逃さなかった。
臙脂をからかう彼もまた、目元が赤かったことを。
見守りkurage : へぁ゛ーーーーーーーっ……
東屋敷 潤 : 「まっちゃんだって泣いてんじゃん、ねえ」
小声でクラスメイトとこそこそ… けど、先生だって寂しいんだよな、とちょっと感傷的な気持でもあるからあんまりからかったりはしないよ
19 : ▼目星
東屋敷 潤 : CCB<=75 目星
(1D100<=75) > 49 > 成功
19-1 : 成功→臙脂が一瞬だけあなたの方を見て目を見開いたのがわかる。
東屋敷 潤 : ? バレたかな、今のひそひそが
20 : 卒業式は体育館で行われる。
相変わらず外の雨音が止むことはなかったが、それが気にならない程に会場は厳かな静寂に包まれていた。
一人、また一人と卒業証書を校長から受け取る卒業生たちを、在校生たちは真剣な眼差しで見つめている。

証書を受け取る際、卒業生は親や担任に向かって今までの感謝や未来への抱負などを一言述べることになっている。

恐らくあなたも台本を用意したことだろう。
一体、あなたは何と言うのだろう。

壇上に立ったとき、保護者席にはあなたや同級生の家族、村長や商店街の人々など、あなた方を幼いころから見守って来た大人達が見えた。
皆一様に、愛おしそうにあなたを見つめていたことだけを、覚えている。


そうして式はつつがなく進んだ。
校長や教頭、教師陣からのメッセージ。在校生、卒業生代表の挨拶。そして最後に校歌を歌い、式は締めくくられる。

体育館内に、子供達の合唱が響き渡る。
東屋敷 潤 : choice 気恥ずかしくて当たり障りのない内容 ちゃんと自分の気持ちを伝える内容
(choice 気恥ずかしくて当たり障りのない内容 ちゃんと自分の気持ちを伝える内容) > 気恥ずかしくて当たり障りのない内容
東屋敷 潤 : そうだよな 俺ってそういうやつだよ 知ってた
東屋敷 潤 : 結局、台本は当たり障りのない内容にしちゃった。こういうの、気恥ずかしくて耐えられない。昔から。
別にそんなに目立つ生徒でもないし…適当にささっと済ませた方がいいよね、って。
21 : ■■に神留坐す 白■の神の命以て
サク■ク■ース ギ■グズ ズスティ■ゼムグニ
禍原に 禊祓ひ給ふ時に 生坐せる
槌蛙大御神
■のおはしますこの村を 果てなく栄えさせ■うと 申す事の由を
■つ神 旧き■ 八百万神等共に
聞食せと 畏み畏みも白す

…校歌は、こんなだったろうか、とあなたはふと思い至る。
口は勝手にそれを口遊む。しかし、その歌詞の内容はどうにも理解できなかった。
見守りkurage : おい校歌 おい なあ おい
東屋敷 潤 : (……こんなだっけ。でも口に馴染む。こんなだった気がする)
22 : ▼アイデア
東屋敷 潤 : CCB<=80 アイデア
(1D100<=80) > 63 > 成功
22-1 : 成功→理解してはいけない、考えてはいけない、と思う。
東屋敷 潤 : (………こんなこと、考える必要はない)
東屋敷 潤 : (……何を?なんで。校歌に対して……?)
23 : あなた方卒業生は、在校生と保護者に見送られる中体育館を後にする。
結局、式が終わっても雨は止まなかった。
まるでここに押しとどめようとするかのように降り続ける雨は、グラウンドに咲いていた桜の幾分かを流してしまった。

水溜まりに浮かんだ薄紅色の花筏が、雨粒に弄ばれて浮き沈みしている。
そんな様子を見ながら、あなた方は一度教室に戻り、本来はグラウンドで行う予定だった記念撮影などをすることになる。
…はずだったのだが。

担任の臙脂がいつまでたっても帰って来ない。
これでは折角の卒業式が台無しだ。…学生生活最後、そして門出の日に、担任教師が不在では。
東屋敷 潤 : 「なあ、せんせい遅くない?誰か呼びいく?」
クラスメイトと話してはいる、けど……
24 : あなたには彼の居場所が手に取るようにわかった。
だからあなたは教室を出て、真っ直ぐに正面玄関から外へ向かった。傘もささずに。
あなたを叱責するように、拒絶するように、雨粒が体を叩く。それでもあなたの歩みが止まることはない。
東屋敷 潤 : 「………」
東屋敷 潤 : 「………俺ちょっと見てくる」
先生のいるところ、なんでか分かる。でもなんで…?
雨なんかも気にならない。ただ、走って…。
25 : 木の覆い茂る林の中にある墓地だ。中央に大きな石碑が立っており、周囲を囲むように小さな墓石が点在している。石碑は今まで蛙徒(あと)、神子になった者達の名前が掘られており、絶えず花が供えられている…はずだった。
ここにはそのような石碑は存在していない。何故ならこの村にはそのような風習も、神子や蛙従と呼ばれる人々も、“存在しないことにした”からだ。

それはそれとして、あなたの目的の人物は墓地の中央で…そう、丁度、石碑のあった辺りに座り込んでいた。
東屋敷 潤 : なんだ、神子に蛙従って。そんなものはない。そんなものは。
……。ない、ないはずなのに。
東屋敷 潤 : ”はず”?
東屋敷 潤 : ………。
先生のところに、行く。
東屋敷 潤 : 「なあ、先生。こんなとこで何してんの」
東屋敷 潤 : 「傘もささないでさ」
26 : 「…もう、十分でしょう」
「あなたの領域に踏み込んでしまったことは謝ります…だから、どうかもう、俺の…あの子達の記憶を…村を…穢すような真似はやめてくれ」

彼…臙脂は憔悴しきったような声で、振り返らないままにあなたに問いかける。

あなたには、彼が何を言っているのか全く分からなかった。

東屋敷 潤 : 「……」
「何を言ってるの?先生」
見守りkurage : 5回、だね……
見守りkurage : ここまでの技能成功回数が5回以下
蛙は帰らず-1 : …あなたには訳が分からなかった。

あなたが困惑の意を示すのであれば、彼は今まで見たこともないような剣幕であなたの胸倉を掴み、そのまま押し倒してくる。
そのまま勢いで臙脂と共に、ぬかるんだ地面の上に転がり込む。
彼はまるであなたに縋り付くようにして喚き散らす。
「見てすぐに分かった、今まで何が起こってるのかわからなかった、ただの優しいだけの悪夢だと思ってた…」
「でも違った、お前が、お前が俺の記憶を奪って、侵して、ここを作った。出してくれ、頼む、これ以上俺はあの子達を侮辱したくない」
「俺がこれ以上何かを望んでしまう前に、何も見せないでくれ」
東屋敷 潤 : 「痛っ! ………ねえ、何……せんせい、何言って、……」
東屋敷 潤 : 「ぜんぜん言ってることわかんないよ!俺が、せんせいに、何をしたって……」
蛙は帰らず-2 : 彼は錯乱している様子だったが、暫く声を掛け続ければ落ち着いたのか、どこか憑き物が落ちたように穏やかに微笑んだ。
「…ああ、すみません、ちょっと…気が、おかしくなってしまって」
「帰りましょう、皆のところに」
彼はあなたから体をどけると、そのまま立ち上がる。そのままふらふらと、学校のほうへと向かうようだった。

いつの間にか雨は止んでいた。
雲の切れ間から刺し込む光が、まるであなた方の門出を祝福しているようだ。

遣らずの雨が桜を流す。
祭りのあとは、いつも寂しい。そんなことわかりきっていたはずだったのに。



臙脂──…否、鳴海開斗が悪夢から解放されたのは、4月1日が終わった後だった。

エンド① : エンド‐「蛙は帰らず」

「進む」で真相へ
エンド報告は「蛙は帰らず/生還」の表記が可能。
(実際本物のPCは関わっていないので生還も何もないのだが)
東屋敷 潤 : 結局何だったんだ……
真相 : このシナリオのPCの正体は「眠りの大帝 ヒプノス」(マレウスモンストロルムP240)が作り出した悪夢である。あトの祀リPC本人ではない。
このシナリオの時系列は、「あトの祀リ」が始まる年の春(4月1日)。鳴海開斗は魔術師としての素養か、それ以外の原因かは不明だが、眠っている最中にヒプノスの気を引いてしまう。
かの神の領域である夢の境界に不意に踏み込んでしまった鳴海に対して警告をするために“悪夢”を見せたことからこのシナリオは始まる。
このシナリオはヒプノスが見せた悪夢…つまり鳴海にとっての“最悪”の光景を、彼の記憶を読み取って再現したもの。PCや鳴海以外のNPCはその中で鳴海の記憶をトレースして作られた偽物である。
シナリオ中降っている雨は、鳴海の悪夢(村の誰もが幸せに生きられた、叶うはずもない世界)を拒絶する意志であり、「夢から醒めたくない」「このまま夢の中に閉じこもってしまいたい」という、相反する欲求や弱さでもある。
エンド「蛙は帰らず」では、ヒプノスの悪夢(PC)が、自身がヒプノスが作り出した悪夢である自覚がない=どれだけ頼んでも理解できないし解放してくれないことを悟り、ヒプノスの気が済むまで付き合おうと諦めた。
エンド「盆に返らず」ではヒプノスの悪夢(PC)の判断によっては早めに夢から解放されるが、そうでない場合はエンド「蛙は帰らず」と同様に4月1日が終わるまで解放されることはない。
どちらにせよ鳴海は4月1日が終わるころには目を醒ます。

このシナリオに参加したPC本人には何の影響もないため、後遺症や生還報酬はない。
…が、PLやKPの意向で「それってあんまりにもこのシナリオ通った意味なくないか?時間返せ」と思う場合は、本物のほうのPCにそれとなく記憶を共有してもいいし、適切なSAN値報酬を自由に設定して与えても良い。
全てはエイプリルフールの嘘なので、自由に遊んでください。
はじめに : ・本シナリオは4月1日限定公開の「あトの祀リ」(新旧問わず)通過PC限定エイプリルフールシナリオ(KPレス)です。ロストしていても生還していても通過できます。
・あトの祀リ本編のネタバレが含まれます。現行、未通過の閲覧/プレイは非推奨です。
・本シナリオでロストすることは絶対にありませんが、後には何も残りません。ここで起こることは全て本編には関係のないことです。
・一本道の読み物です

※KPレスですがKPを立てて回ることも可能です。プレイ人数は一人を想定していますが、複数人に改変して回っても問題ありません。
(このKPレス部屋をそのまま回す際に使って頂いても構いませんが、KPあり版はご用意できなかったので このまま使って頂くか、ご自分で用意して頂けると幸いです)

※部屋素材の無断転載や他シナリオへの使用、AI学習は禁止です。

現在の画面(シーン:はじめに)はスクリーンショットしても大丈夫です。卓報告の際にご利用ください。
次のシーンから本編が始まります。
東屋敷 潤 : ………ああ、戻ったんだ。
何周目の『4/1』なんだろう。
??? : 『でも、……何周したっていいんじゃない?この夢は幸せなんだから』
??? : 『同じ形をした違うものなんだし、だったらなにも変わらない。大丈夫だよ』
??? : 『おれが飽きるまで付き合ってもらうだけだからさ!こんな素敵な悪夢なんだ、先生だってたのしいはず!』
??? : 『いつかは覚める夢なんだし、だったらもう少し付き合ってよ。ね、せんせい』
東屋敷 潤 : choice この記憶は俺に引き継がれた 知らない記憶だ…
(choice この記憶は俺に引き継がれた 知らない記憶だ…) > 知らない記憶だ…
見守りkurage : choice いずれかの世界線では夢に見たかもしれない そんなことはない
(choice いずれかの世界線では夢に見たかもしれない そんなことはない) > そんなことはない
見守りkurage : 完全に独立したひとつのものだった、というワケ…
東屋敷 潤 : もしも、…もしこうやって何もない世界だったら……本当に、歴史の先生になって村に戻ってたのかもね。
もとよりなんらかの形で多少村に貢献するつもりだったし、だったら好きなことや興味を活かそう、って先生と進路相談で話したのかも。
東屋敷 潤 : この世界線のこの村だったら教育も普通に外と同程度受けてるだろうし、そうなると英語と歴史が得意だったから…そうだね、やっぱり教育に携わる形をとったかも。
英語教師か社会科教師かで悩んで、社会科を取ったんだろうな。いずれにせよ文系だな、俺。
東屋敷 潤 : ただ、教師を目指してるのはあんまり他のやつに言いたくはない。幼馴染のまさるにも、なんだか恥ずかしくて言いたくないって隠してただろうな。
だからあいつも同じように教師を目指してるって知って、ちょっと驚いた。正直。
東屋敷 潤 : あんなやつが学校の先生なんかして、それこそ生徒にナメられたりしないか?って心配もあったかもね。
まあ、生徒に向き合ういい先生にはなれると思うよ。いいやつだから、あいつ。
東屋敷 潤 : 小学生クラスの方に行きそうだな。洋子さんとこの子が進学するまでに村へ戻りたいって言ってたし。
俺は高校クラスに行きたいから、そこは分かれるかも。まあ、同じ学校内だから……。
東屋敷 潤 : 歴研の顧問にでもなろうかな。部活までいかなくていいや。面倒そうだし。
でも、ちょっとだけそういうのに興味持ってくれたら、それは嬉しい。
東屋敷 潤 : まあ、この世界はこの世界で楽しいだろうな。
さやこさんは…村の外で、あっちで育ったようすけと添い遂げてほしいな。
ヒロは村に残るって言ってたから、あいつとも仲良くやるんだろうな。
東屋敷 潤 : ああ、卒業生4人って…そういうことだったんだな。今更だけど。
ようすけだけいないんだ。外のやつだから。 ……で、先生は”臙脂”だから……あすかさんもいないんだ。最初から。
東屋敷 潤 : あすかさんとは会うことも叶わないな。この世界。
でも、……健兄ちゃんと洋子さんの子、もしかしたら……、って、ちょっと思っちゃったよ。
もしかしたら……さ。まあ、希望的観測だな、これ。
東屋敷 潤 : うん……絶望の世界だな。どうやったって。閉じた永遠と箱庭の地獄。
絶望を希望に変える救世主が現れることもなく、ただ飽きるまで続くままごと遊びだ。
東屋敷 潤 : おやすみ、先生。いい悪夢を。